第三章 リベン珠
第6話 遂に現れた存在:後編
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美……あなたのそれ、もしかして神降ろし?」
清蘭とて依姫の能力については噂に聞いた事があるのだ。それを確認する意味も籠めて彼女は勇美に聞く。勇美もそれを使えるようになったのではと。
「うん、正確には神降ろしを動力として『借りている』って事なんですよね〜。神様の力を借りる神降ろしから、更に借りる事となるからその効力は更に弱まってしまいますが……」
「……」
それを聞いて清蘭は暫し無言で考え込む。
これは厄介な事であろうと。確かに噂に聞く神降ろしの効力よりも弱まっている感じはあるが、その代わりに勇美とやらの機械を顕現して変幻自在に操る能力の汎用性により対処しづらさが生まれていると清蘭は感じるのだった。
そして、彼女はこう結論づけるに至ったのである。
(まずは、この子から先に倒さないとね……)
単純明快な答えであった。要は清蘭の中で勇美は厄介さの優先順位が鈴仙よりも上となったという事であった。
(そうと決まれば、話は早いわね!)
決意をした清蘭の判断は的確であった。彼女は次なるスペルを発動する事にしたのであった。ルナティックガンが防がれるなら、次の手を打てばいいという事である。
彼女は銃を構え直すと、そこに再び弾丸が装填されていく。だが、先程のルナティックガンのそれとは様相が違っていた。
一頻り装填が終わると、清蘭はそのスペル名を宣言する。
「【凶弾「スピードシューティング」】」
それに続いて清蘭はその場で二発、三発と続けて引き金を引いたのである。だが、勇美は慌てずにこれもシールドエアフォースで弾き飛ばしてしまおうと構えて待ったのだ。
だが、ここで勇美は異変に気付くのである。
「?」
その違和感の正体……。それはいつまで経っても先程清蘭が発射した筈の弾丸がこちらに向かって来ないのである。
何故かと勇美は首を傾げつつ前方を注意深く確認すると、その正体に気付いたのである。
「弾の動きがゆっくりになってる……」
それが答えだったのである。先程の弾丸は風を切る速さとは無縁の、まるでスローモーションのようにじりじりと這うようにこちらに進んでいたのだ。
勇美はそれには当然疑問を持った。これでは『スピード』と銘打っているが、まるで逆で『スロー』とでもいうべきだろう。
これなら容易に避ける事が出来るだろう。勇美はそう踏んでしまったのだ。だが、それは当然清蘭が望む所であったのだ。
そうして勇美の動きは目に見えて隙が出てしまったのである。それを逃す清蘭ではなかった。
「そこっ!」
清蘭がそう掛け声を出すと、それは起こったのだ。
「痛っ!」
何故か勇美は身体に痛みを覚えてのけぞってしまった。当然彼女は何事かと警戒する。
そして、見れば先程までスローモーションで動いていた弾丸の一つが忽然と姿を消
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