第三章 リベン珠
第5話 遂に現れた存在:前編
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「清蘭、あなた……」
これには勇美のみならず、鈴仙も驚いていたようであった。それだけ彼女にとっても意外な事であるようだ。
そして、この瞬間勇美は思っていた。もしかしたら月で弾幕ごっこを経験した依姫が月に広めてくれたのかも知れないと。律儀なあの人なら考えられるだろう。
ならば、勇美はますます依姫に感謝せねばならないだろう。こうして今、山場となりうる課題を一つクリアー出来る事となったのだから。
「清蘭さん、弾幕ごっこを引き受けてくれるのですね?」
「ええ、二言はないわ。この言い方は鈴仙がいた所の指導者の受け売りだけどね」
それを聞いて勇美は安堵した。これで互いに無駄な血は流さずに済みそうだと。
「あなた、そう嬉しそうにするのは弾幕ごっこに勝ってからする事ね」
「あ、ごめんなさい。弾幕ごっこをしてくれる事が余りにも喜ばしかったもので……」
「清蘭、あなたには悪いけど、ここは2対1でやらさせてもらうわよ」
やや浮かれ気味な勇美に続き、鈴仙はしれっとそのように清蘭に言ってのける。
「いいわよ、そういう変則的な勝負も弾幕ごっこならアリなんでしょう? まとめて掛かってきなさい」
ここに、勇美と鈴仙の旅での初めての弾幕ごっこが開幕したのである。
◇ ◇ ◇
そうして一人と二羽は森の中の手頃な開けた場所へと繰り出していたのだった。無論、弾幕ごっこに最適な場所を選んだ訳である。
そして、最初を切り出したのは清蘭であった。
「まずは私から行かせてもらうわ。1対2なんですもの、これ位いいでしょう」
そう言って清蘭は銃を構えて、まずは鈴仙に銃口を向けたのである。そして、その状態からスペルカード発動となる。
「【銃符「ルナティックガン」】!」
その宣言と共に清蘭は銃の引き金を引くと、銃口から弾丸状のエネルギー弾が発射されていったのだった。
そして、それを見ていた勇美にはその言葉に聞き覚えがあり、確信に至る。
(鈴仙さんの銃と同じ名前だ!)
それが答えであった。勇美はそれにより、そこはかとなく鈴仙が次にする行動が読めたのであった。
勇美の読み通りであった。清蘭のルナティックガンの射撃に合わせ、彼女も自前の銃『ルナティックガン』を取り出したのだから。
後は展開が読めるだろう。鈴仙も清蘭のそれに合わせて引き金を引いたのだった。
そして、鈴仙の銃口からも弾丸状のエネルギーが発射され、清蘭の放ったそれへと勇ましく向かっていく。
続いて、両者は空中でぶつかり合うと互いに弾け飛んでいった。要は相殺されていったという事である。
次々に宙では爆ぜが起こっていた。それは正に花火のようなきらびやかさを醸し出していたのだった。
「綺麗……」
思わず勇美はその光景を見て呟きながら実感した。──これぞ弾幕ごっこの
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