第三章 リベン珠
第5話 遂に現れた存在:前編
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の子はそういう趣味真っ盛りの年頃なのよ」
清蘭に助け船を求められた鈴仙も、これにはお手上げといった様相で返すしかなかったのである。そして、そのような言い草をされた勇美は心外であった。
「むぅ〜! あなた達にもそういう年頃ってあったでしょう〜?」
「ごめん、人間の事はちょっと計りかねるわ」
勇美に必死(?)の抗議をされても、清蘭はそう答えるしかなかったのである。
それは無理もない事だろう。何せ人間と妖怪である玉兎は寿命が違うのだ。ましてや月に住む玉兎は月の民と同様に寿命から逃れて悠久の時を過ごす身である。故に人間の感性には中々共感出来はしないのだった。
だが、ここで清蘭はある既視感を覚えたのである。
「でも、前に月に侵略しに来た吸血鬼もあなたに似た所があったわね」
「レミリアさんですね?」
心当たりのある人物の情報を清蘭から提示されて、勇美はそれに食い付くのであった。そしてその情報に対して付け加える。
「あの人、私の友達でもあるんですよね〜」
「成る程……」
その勇美の主張を聞いて清蘭は合点がいった。あいつとこの人は同類故に波長が合うのだろうと。
それはともあれと、清蘭は話を元に戻そうとする。相手の趣味が何であろうと、このまま放置する訳にはいかないからだ。
「……まあ取り敢えず、ここからは進ませないって事を分かってね?」
「やはりそういう事ですよね」
勇美も悪ノリしていた態度を一変させて真剣な心持ちで清蘭と向き合う。だが、ここで彼女は一体どうすればいいか行き詰まってしまう。
──相手は月から来た玉兎なのだ。故に幻想郷の部外者である。
その為、弾幕ごっこという幻想郷のルールを引き受けさせるのは難しいだろう。
前に魔理沙は月で依姫に弾幕ごっこを教え、その結果無事にそれにて物事は解決したのだが、それは様々な幸運が重なった事に他ならない。
まず、勇美には魔理沙のように口が立ちはしないのである。故に相手を言葉巧みに言いくるめる事は難しいだろう。
ましてや、今回は相手が依姫のような武人肌のような物分かりのいい存在ではないのだ。見るからに任務には忠実な兵士のような玉兎だと判断出来るのである。
そこまで考えて、勇美は出来るだけの事をしようと思った。もし無理なら、今の自分にどこまで出来るか分からないが実力による勝負をしなければならないと腹を括るのだった。
だが、清蘭が出した答えは意外なものであった。
「じゃあ、始めましょうか。『弾幕ごっこ』を♪」
「えっ!?」
勇美にとって、これには驚くなと言う方が無理であるというものだろう。故に彼女は思わず上擦った声を出してしまったのだ。
それに構わずに清蘭は続ける。
「何を驚いているの? ここは幻想郷でしょ? 郷に入れば郷に従うのは当然でしょう?」
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