第三章 リベン珠
第5話 遂に現れた存在:前編
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掛かって来たのである。
「それとあなたは人間ね?」
「私ですか? あ、はい」
突然話題を自分に振られて勇美はドギマギしてしまう。
「そうなんだ? 驚いたわね、鈴仙が人間と組むなんて……」
清蘭は自分勝手で一匹狼だったと鈴仙の事を記憶している。そんな彼女が誰かと、それも人間と組んでいるのは驚くべき事だったのだ。
「まあね、この子は放っておくと危なっかしいからね。私が着いていないと不安なのよね〜♪ あ、紹介しておくわ、名前は黒銀勇美さんっていうのよ」
「もう、鈴仙さんってば〜☆」
自分の事を小馬鹿にする部分が多いながらもちゃんと紹介してくれてもいたので、勇美はどこかこそばゆい心持ちとなっていた。
そんな気持ちを勇美は懐きつつも、彼女は自身にとっての最重要事項へと話を向ける。
勇美の視線の先にあるのは他でもない、件のいい匂いの発生源であった。それは、乳白色の濃厚な液体の中に様々な具が入った料理──詰まる所は『クリームシチュー』である。
「ところで清蘭さん、そのクリームシチュー、美味しそうですねぇ〜♪」
そうのたまう勇美の表情と声は完全に蕩け切っていた。それは正にそのクリームシチューそのものであった。
「あげないわよ、これは他の玉兎達の分だから。そして私が今回の料理番だったって訳よ!」
そこまで清蘭は説明し、溜め息をついた後こう続けた。
「鈴仙も身内にこういう人を持って大変でしょうねぇ……」
「ええ、でも勇美はまだいいわよ。特に大変なのがお師匠と輝夜様との関わりで……」
そう言って鈴仙も溜め息をつく。そこには彼女の普段の気苦労が滲み出ていたのだった。
ともあれ、清蘭が拵えていた食事は仲間の物であったのだ。これは邪魔してはいけないと勇美は思いこう言う。
「清蘭さん、お邪魔したみたいですね。それじゃあ、私達は先を急ぎますので、これにて」
そして、勇美は鈴仙とその場から離れようと歩を進め……。
「ちょっと待ちなさい」
られなかったようだ。
「何ですか、清蘭さん?」
勇美は振り返りながら、その答えはそこはかとなく察しつつもそう彼女に聞く。
「分かっているでしょう? これも仕事なのよ、悪く思わないでね?」
そう言いながら清蘭は、勇美にいつの間にか取り出した銃の銃口を突きつけていたのだった。
「……」
その清蘭の対応に勇美は無言となる。当然だろう。このような緊迫した空気の中では言葉は容易には出ないだろうから。
「あ、そのシチュエーション。カッコイイですね♪」
「んん?」
だが、勇美の着眼点は普通とは少し違うのであった。この思いもよらない指摘に、清蘭も声にならない疑問の声を出してしまう。
「いや、あなた。こういう状況で何言っているのよ? 鈴仙からも何か言ってあげて」
「ごめんね清蘭。こ
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