第三章 リベン珠
第4話 始まった冒険
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や命中精度を飛躍的に向上させる役割があった。断じて見た目が格好良いからという訳ではない。
勇美ならばそのような理由で使いかねないが、鈴仙は元師匠の依姫に似て真面目な性格なのだ。故にそのようなふざけた理論の元行動したりはしないのである。
ともあれ、鈴仙が『銃を通して』発射した弾丸は見事に妖精に命中して、これも自然へと還したのだ。
それを彼女も難なくこなしていった。彼女も昔は依姫の元で修行を積んだ優秀な戦士なのだから、お手の物であった。
しかし、彼女も初めての経験に多少戸惑いを見せていた。
それは、基本的に人間は異変を解決し、妖怪は異変を起こす立場にあるという事である。
だが、何の縁か今鈴仙は純粋な妖怪の身でありながら異変を解決に向かう立場となっていたのだった。これには彼女自身も困惑を覚えるのだ。
かつて彼女が修行を積んだのは、地上の人間に月が攻め入られた時に備えてであり、彼女が辿って来た経緯は地上の妖怪とは性質が異にするものである。
だが、彼女は月から逃げて来て地上で暮らすようになったのだ。故に、地上の妖怪としての性質も備わっていったのだ。
そんな鈴仙が妖怪としての流儀に反して異変を解決する側に今いる。それに対して彼女は思う所があった。──これも勇美に何か影響されたが故かと。
だとしたら、鈴仙は勇美に些か感謝すべきだろう。勇美のお陰で本来経験出来ない事を味わう機会を得たのだから。
そのように今までの経緯を思い返している内に、彼女の方も妖精を全て露払いするに至っていたのだった。
「勇美さん、これで全部倒せたみたいよ」
「そうみたいですね」
こうして二人は取り敢えず、今し方現れた妖精の群れを倒し切る事が出来たようである。自然の一部故に大量に現れる妖精だ。またすぐに襲い掛かって来るだろう。
だが、辛うじて今は彼女らの気配はしないのであった。これ見よがしに二人は『旅』を再開するのであった。
◇ ◇ ◇
そして、暫く二人が歩を進めた所で彼女らは森の中にありながら、一際開けた場所へと辿り着いていたのだった。
そこは、他の場所よりも木が少なく空の見晴らしの良い所である。その性質上、向いている事と言えば……。
「鈴仙さん、ここでお昼にしましょうよ♪」
そう、休憩には持ってこいという話であった。しかも、何の因果か、座るには丁度良い切り株が二つあるではないか。
「そうね、丁度あそこに座れそうだし、勇美さんの案に賛成ね」
故に、鈴仙も断る意味を感じないのだった。しかも、ここには幸い妖精や妖怪の気配はないのだ。足を伸ばすには都合が良いというものであろう。
そして二人はその切り株を椅子代わりにして腰掛けるのだった。
「よっこらしょっと♪」
「……勇美さん、年寄り臭いわよその言い方……」
だ
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