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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第2話 新たなる友:後編
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 そう言った菫子は無慈悲にその引き金を引いたのだった。そして再び発射される水の直射。
 その直進は容赦なく勇美へと向かっていた。このままでは彼女はその牙の餌食となってしまうだろう。星の弾丸では打ち消す事が出来ないのだから。
 そう、あくまで『星の弾丸』では……である。
「ふんっ!」
 突如勇美は掛け声をあげると、それは起こったのだった。
 彼女が持つプレアデスガンは一瞬にして分解されたのだ。しかも、その中には先程よりも立派なライフルのような風貌の銃が存在していたのである。
「ええっ!?」
 これにはさしもの菫子とて驚愕してしまったのである。何せ一瞬にして相手が持つ銃が豹変したのだから。
 そして、その隙を見せたのが菫子にとって命取りであった。それを勇美が見逃す訳がなかったからだ。
「『火雷神』の力にて敵を撃ち抜け! 【銃電「トールガン」】!!」
 宣言と共に勇美の新生銃の引き金は引かれ、そこから電撃が激しくほとばしったのである。そして、それが向かった先は菫子が放った水の直進であった。
 電気が進む速度は当然水よりも速い。そして、電気が水に接触すればどうなるかは察しの通りであろう。
「しまっ……!」
 菫子がそう反応した時には既に遅かったのである。勇美の放った電撃は水の線を伝って、一気に本体である菫子へと向かったのだから。
 咄嗟に彼女は超能力を防御の為に向ける。だが、完全には防げはしなかったようだ。
「くぅっ……」
 そしてかき消し切れなかった電撃は、確実に菫子を包んだのだった。その後電流は止んだ。
 その様子を見届けた勇美は、確認するように言葉を発する。
「……続けますか菫子さん?」
「いいえ……私の負けだわ」
 この瞬間に夜の芸術の勝負は雌雄を決したのであった。

◇ ◇ ◇

 その後、二人は人里の上白沢亭に身を移していた。時刻はもう夜中となっていたから、これからそれぞれの住まいに帰るのは危険だからだ。
 ましてや菫子の住まいは外の世界に存在するのだ。今からそこを目指して夜の幻想郷を行くのは自殺行為というものであろう。
 そして、相部屋となっていた二人は、就寝前に先程の勝負の事で話に華を咲かせていたのだった。
「あー、それにしても他の人の力を借りて戦うのって骨が折れるわね」
 それが今回の、にとりから水を供給してもらいながら戦った菫子の率直な感想であった。
「それを今までやってきた勇美はやっぱり凄いわね」
 そして、依姫の神降ろしの力を借りて今まで戦ってきた勇美に感心を示した。
「うーん、今までずっとそうしてきたから自分では余り実感出来ないんだけど……やっぱり凄いのかな?」
「ええ、そうよ。慣れってのは恐いわね」
 あっけらかんと言ってのける勇美に、菫子は些か戦慄すら覚えそうになった。

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