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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第2話 新たなる友:後編
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き抜かれていったのである。後は想像に難くないだろう。
 それに合わせて菫子はプリンターガンのホルダーを外したのである。そして水はその中に収まっていったのだった。
「成る程、実弾代わりに水を込めたって事ですね」
「そう、理解が早くていいわね」
 勇美の指摘に答えた菫子は、後は相手の要望に応えるだけだろう。実は彼女にとってこの試みは初めての事であるが、不思議と彼女には迷いはなかった。これも超能力の賜物かも知れない。
「【水術「ウォーターガン」】」
 その宣言と共に菫子はとうとう引き金を引いた。それにより直線上に圧縮された水圧がレーザーのように勇美を襲ったのだ。
「これは……」
 勇美はそう呟くとすぐに体を動かしてそれをかわしたのである。
 間一髪で水のレーザーを避けた勇美。そして彼女がいた場所にその攻撃が注ぎ込まれた。
 激しく弾ける音と土煙が巻き起った事が、この攻撃が強烈な威力を誇っていたのを物語っていた。
 そして、水撃は止み音と土煙も収まったようだ。その後の光景を見て勇美は息を飲んだ。
 そこには規模が小さいながらも穴が堀り込まれていたのだった。それも底がすぐには分からない程深く刻まれているようである。
 今しがたその恐るべき水撃を放った菫子は胸を張ってこう言った。
「あなたの判断、見事ね。これにプレアデスブレットで相殺しようとしなかったのは懸命ね」
「ええ、とてもじゃないけど撃ち合えるような威力じゃないってすぐに分かりましたから」
 菫子の言葉に、勇美は冷や汗を流しながらそう答えながらも、その判断力を見せた自分を内心褒めるのだった。これも伊達に幻想郷で弾幕ごっこで渡り合ってきてはいないが故にだと。
 勇美は今そのように焦燥と喜びが入り混じった複雑な感情となっていた訳だが、その相手となっている菫子の方も実は内心取り乱していたのだった。
 それは、このウォーターガンの威力がここまでになるとは思ってはいなかったからである。さすがは自然の産物である水の力か。後、自分の超能力の効力にも改めて驚かされたのである。
 だが、そのように考えを巡らせている事を菫子はおくびにも出してはいなかった。それは伊達に都市伝説騒動にて幻想郷の者達とためを張ってきてはいないが故の気丈さである。
 だから、菫子はあくまで強きで以てこう言う。
「いつまでも避けられるとは思わない事ね。次は当てるわよ」
 そう言いながら銃口を勇美に向ける菫子は、まるで言外に「言い訳は地獄で聞く」と語っているかのようであった。弾幕ごっこだから殺す事はないのだけど。
「……」
 そんな菫子に対して勇美は無言で向き合った。そして自分の持つ銃を菫子へと向けたのだ。
「血迷ったかしら? その銃の弾で相殺出来ないって事は今分かったでしょう? これはあなたの判断ミスね」

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