第三章 リベン珠
第2話 新たなる友:後編
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たのである。
「それは……」
思わず勇美はそう呟くが、それ自体は彼女自身にも見覚えがあったのだ。それを勇美は口にする。
「3Dプリンターで造った銃ですね?」
「ご名答よ♪」
正解を言い当てた勇美に、菫子はご満悦といった様相で以て返した。
菫子が今取り出した代物。それはネットに掲載された銃の設計図を元に立体的に形をプリントする装置で、あろうことか本物の銃のように機能させる事が出来る道具であった。それが実際に社会的問題になったのだが、その話題はここでは置いておく。
その銃を菫子が先日の都市伝説騒動での戦いにて使用していた事は勇美にも知れ渡っていたのであるが、実際にその目で見るのは初めてなのであった。
問題は何故菫子はそれを今このタイミングで取り出したかという事である。その疑問に彼女は答えていった。
「さっきも言ったように目には目をって事よ。あなたが銃を使うなら私も銃を使うまでって事よ」
「成る程」
その菫子の主張に勇美も納得したようだ。だが、ここで彼女は気付いてはいけない事に気付いてしまったようである。
「でも、それって銃刀法違反になりますよね。あ……だとしたら私もそもそも……」
「それは気にしては駄目よ」
それ以上は踏み入れてはいけない領域だと危惧した菫子はそこでストップを入れておいた。ここから先に歩を進めてしまえば、思考の泥沼に足を絡められてしまうだろう。
「それに、あなたのお師匠様も平然と刀を所持しているでしょう? 今更だと思うわよ」
「あ、言われてみれば……」
そもそも問題を追求すればそこにも行き着く訳である。故に勇美はこれ以上の詮索をするのを止める事にした。
「気にしない事にします。……それは外界出身の者として大問題でしょうけどね」
「うん、それがいいわよ」
そこまでで二人は、考えるのを止めたのであった。
「それで菫子さん。都市伝説の時のようにそれで攻撃するのですか?」
気持ちを改めて勇美は話題を変え、菫子にそう聞く。それに対して出た菫子の解答は勇美の予想していたものとは少し違っていた。
「勿論これを使うけど、今回はちょっと使い方が違うわね。そもそも普通に使うなら水なんていらない訳だし」
「確かに」
勇美は素直にそう思った。普通に『3Dプリンターガン』として使うなら、にとりから水の提供を要求したりはしないだろう。
「勇美も薄々分かってるんじゃないの? じゃあいくわよ!」
そう菫子が言い切ると彼女は銃口を勇美に向けたのである。だが、そのまま引き金を引く事はなかった。
彼女は銃を持っていない空いた手で、念力を発動したのである。そして、その行き先は──当然の如く、宙に固定してあった水の塊へであった。
その力を受けて水はスライムのようにプルプルと震えると、そこから一部の水が引
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