第三章 リベン珠
第1話 新たなる友:前編
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て、次々と星の弾丸をそこに撃ち込んでいったのだった。
次々に弾丸が当たり、水球はバシャバシャと音を立てながら水の雫を撒き散らしてその形状を小さくしていった。つまり、攻撃すれば打ち崩せるという勇美の読みは当たっているかのようであった。
だが……。菫子の様子は至って平静を保っていた。そして、彼女は抵抗する様子もなかった。これは、攻撃の要を破壊されている者としては些か不自然というものだろう。
その答えもじきに分かるようになるのであるが。
「はい、これでそろそろ終わりですね♪」
そう意気揚々と言った勇美の掛け声を合図にするかのように、完全に水球は吹き飛びその形を保てなくなっていた。
「よしっ!」
その瞬間勇美は思った。──攻めるなら今しかない、と。そして、勇美は銃口の狙いを菫子へと向ける。
「それじゃあ、水もなくなった事ですし、菫子さんへダイレクトアタックですね♪」
勇美は高らかにそう言って銃の引き金を引こうとする。だが……。
「フフッ、そいつはどうかしら?」
窮地に追い込まれた筈の菫子が放った台詞はこれであった。
「!」
その瞬間勇美は戦く。この状況で菫子に打つ手があったのかと。そう思っている勇美に菫子は指摘した。
「勇美、上を見て見なさい」
その言葉に従い、勇美は視線を菫子の上へと向けたのだった。そして……。
「そんな事が……」
勇美は驚くしかなかった。何故なら確かにプレアデスブレットで水は全て弾き飛ばした筈なのであった。
だが、実際は水達は消え去る事なくそのまま宙に無数に固定されていたのだ。まるで静止画のように水の雫が空中に留まっている。
そんな中で菫子は勝ち誇ったように勇美に言う。
「水を吹き飛ばしてしまえば良いという発想は良かったけど、私の泣く子も黙る超能力を少し読み違えていたようね」
そう、これこそが菫子の超能力の賜物であった。物体そのものへの干渉、それが彼女の強みなのだ。
幻想郷の有力者は霊力や妖力で球場のエネルギー弾を生み出す事は出来る。だが、対象に対して直接働きかける事が出来る者は少ないのだ。
例外的に気を他の生物に送って活性化させられる紅美鈴や、対象の『目』と呼ばれる核となる部分を引き寄せて握り潰す事で対象そのものを破壊できるフランドール・スカーレット等がいるが、それも数が限られているという事だ。
そんな、幻想郷の住人でも出来る者が限定される芸当を、目の前の菫子は『いとも簡単』にやってのけていたのだった。
勿論、この催しものは勝負でもあるが故に、菫子とてただ単に無数の水の塊を宙に固定して得意気になるだけでは終わらせる気は毛頭なかった。
菫子はそこで口角を上げ、ふてぶてしく宣言した。
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