第三章 リベン珠
第1話 新たなる友:前編
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して、それを菫子目掛けて放出したのであった。
その瞬間里の住人からどよめきが起こる。このままではこの人は水の直撃を受けて惨事となってしまうと危惧したのである。
だが、当然弾幕少女三人には取り乱している者は存在してはいなかったのだ。何せ、今のこの状態は打ち合わせの通りだったからである。
「はっ!」
その最中、菫子は落ち着いた様子で向かって来る水の奔流へ、両手を向けて自身の能力を発動する。
それは、『超能力』であった。サイキック、エスパー、念動力と呼ばれる、霊力とも神力とも妖力とも違う超然的な力である。
その力を受けた水は、まるで写真の中に納めたように空中で静止をしてしまったのであった。
水の流れが宙で固定されるという強烈なインパクトを誇る演出。しかもそれが照明に照らされて鮮やかに光を反射していた。このような芸術的な光景を見た人々の反応は決まってくるだろう。
「わあああ〜〜〜っ!」
それは見事な歓声であった。テレビ番組でのそれは合成によるものがほとんどだが、今この場に起こったそれは嘘偽りのない、人々からの生の称賛が籠った生命の脈動であった。
(ええ、効果覿面ね♪)
その手応えに菫子は、ご満悦のようである。こうして自分の力を人々を喜ばせる為に使うのも悪くないと思った。
そして、その事に気付かせてくれた勇美の事もさすがだと感じるのだった。確かに自分の方が年上ではあろうとも、勇美の方が幻想郷で培われた感性は上を行っていると実感するのだ。
だが、これ以上感慨に耽るのはこの『ショー』が終わってからにしたい。今は集まってくれた皆に喜んでもらう、それだけを考えよう。
そう思い至り、菫子は再度自身の力を水に込めた。すると、形作られる前の高熱で溶けたガラス細工のようにグニャグニャと流動しながら水は菫子の元へとたぐり寄せられたのである。
彼女の元へとかき集められた水はぷるぷると震えながら球状に変型させられていた。そして、そのような芸当をこなす菫子の印象は正に『職人』の域に達していたのだった。
「うわあ……すごい♪」
これには、菫子と対峙している勇美までも感嘆の声をあげてしまう程であった。それも、彼女こそがこの、謂わば『水芸イリュージョン弾幕ショー』の立案者であるのにである。
「……」
その事に菫子も少し呆れてしまう。この子は無邪気なのはいいが、些か奔放ではないかと。
それが勇美の良い所かと思いつつも、菫子は少し心を鬼にして、彼女に褐を入れる事にする。
「勇美、これはあくまで弾幕ごっこで、あまつさえあなたは対戦相手なのよ」
そう言いながら菫子は拳を握り、戦いの為の予備動作を行う。
「【超水「ハイドロマグナム」】!」
そして、スペル宣言の元、握った拳に念動力を籠めて──自分の目の前に浮かぶ水球へと打ち込ん
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