第三章 リベン珠
第1話 新たなる友:前編
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
彼女と交流を結びやすくする要因となったのかも知れない。
ともかく、新しく出来た幻想郷の有力者では貴重な同種族に対して、勇美は話し掛ける。
「菫子さん、こうして私が考えた突拍子もない案に付き合ってくれてありがとうございます」
「いいって事よ。私もオカルト騒ぎを起こして里の人達に迷惑を掛けたお詫びをしないとって思っていた所だからね」
「そう言ってもらえると気が楽ですね」
菫子の気遣いに勇美は肩の荷が降りる心持ちとなる。そして、密かに菫子の事を今まで孤独を望んでいたけど、断じて人の気持ちが分からないような者ではないと想いを馳せるのだった。
「二人とも準備はいい〜?」
そうこうしている人間二人の間に割って入る声がした。それは妖怪の山に住む河童の少女、河城にとりからのものであった。
この少女には以前勇美もお世話になっていたものである。彼女が生み出す自分の分身である機械の動力を依姫の助力で『神降ろし製』にする前までは燃料をにとり達河童から提供してもらっていたのだから。
「はい、もう大丈夫ですよにとりさん」
「私の方もOKよ♪」
にとりの呼び掛けに二人とも了承の返事をする。それを合図として、にとりはカウントを始めた。
「3……2……1……はいっ!」
そしてカウント終了と共に彼女は手元のスイッチをONにしたのであった。それにより起こる事は……。
一瞬にして夜の人里の広場がカッと眩い光に照らされてライトアップされたのである。にとりが押したスイッチはこの大掛かりな照明を起動させる為の物だったようだ。
その派手な演出に集まった人里の住人達からは、一気にわあっと歓声が沸き起こったのである。それを菫子は皆の前に立ってこう言った。
「皆さん、驚くのは早いですよ。お楽しみは、まだこれからなんですから♪」
その振る舞いをいともあっさりとやってのける菫子。それを見て勇美は再度確信した──やっぱりこの人は、人とのやり取りが寧ろ得意なのだと。
それはさておき、菫子の言葉通り、これから何かとっておきの見世物が開始されるようであった。
◇ ◇ ◇
「それじゃあ、私から行かせてもらうわよ」
そう切り出したのは菫子の方であった。彼女も勇美が後手で始めるのが得意と知っているが故に、幻想郷でのキャリアではなく人生経験が2年上な菫子の方が後輩に華を持たせたと言う事だ。
それに、今回の弾幕ごっこでは菫子が先に動く事に意味合いがあるのだ。
そう、『弾幕ごっこ』である。二人は今からこの人里の広場で公開弾幕ごっこを行おうと取り決めたのだった。
それも、今回のは思考を凝らした特殊なものである。その引き金を引く為に菫子は呼び掛ける。
「にとりさん、『水』の用意をお願いね」
「はいよ♪」
菫子に言われて、にとりは自身の能力で水を生成
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ