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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第17話:新体制の幕開けー5
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ピクリと眉尻を跳ね上げる。

「私が何の用で来たか察しがついているからこそ社長自ら対応され、
 この場に編成局長に報道局長、制作局長までがいらしゃるのではないですか?」

クロノの言葉で、社長は顔をこわばらせる。

「私がアポイントメントもとらずに伺ったのは、先ほど発生し、こちらに座っている
 シュミット1佐が突入作戦の指揮をとったグランドミッドチルダ銀行本店の
 人質立てこもり事件における貴局の放送内容について、同様の事態の再発防止を
 要請するためです」

さらに言葉をつづけると、社長以下の全員が背をピンと伸ばしてクロノの方を見る。

「当然ご存じとは思いますが、人質の発生している事件の報道においては、
 人質と作戦に関わる管理局員の安全を確保するために、管理局の対応を放送しない
 という包括協定を報道各社と締結しています。もちろん、貴局も。 まちがいありませんね?」

クロノの問いに対して、CTV側の4人は黙って頷く。

「今回、事件発生直後に人質立てこもり事件であることが判明し、私が室長を務める
 テロ対策室から各局の登録担当者にその旨を通達しています。
 貴局の場合は編成局長だったはずですが、まちがいありませんね?」

「はい、まちがいありません。 今回も通達を受領しています」

編成局長が固い口調で答える。

「であるにもかかわらず、ヘリからの映像が生放送されたわけですが、
 なぜそのようなことになったのですか?」

クロノが低い声で尋ねる。
すると、CTVの3局長は互いに顔を見合わせる。
そして、しばらくして制作局長がおずおずと口を開いた。

「実は、あの時間に放送していた番組は制作局の娯楽番組を担当するチームの制作するもので
 人質事件における包括協定について、担当ディレクターもまったく把握していなかった
 ようなのです」

「つまり、放送に関する基本的なルールを指導しないまま、放送業務につかせていた
 ということですか?」

「結果的にはその通りです。
 当然、包括協定の重要性は重々承知していますし、必要と思われる部署には
 徹底した指導を行っておりました。
 しかし、今回の放送に関わっていたメンバーはそこから漏れてしまっていた。
 そのために発生した事態と考えておりますので、今後は指導の対象を放送業務に
 関わる全社員へと拡大する対応をとる予定です」

「そうですか。 原因と対策についておおむね理解しましたので、これをもって了とします」

クロノの言葉にCTV側の4名は安どの表情を浮かべる。

「ですが、発生した問題は発生した問題として、議会へと報告させていただきます」

その言葉で4人の表情は再び青ざめた。

「それでは・・
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