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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン37 白面金毛の悲願
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みとばかりに、今度こそ発動に成功したレッド・リブートがハイレート・ドローで先にモンスターを破壊してのダメージ回避を封殺する。炎の軌跡がアンデットワールドの空を裂き、闇の魔王めがけて打ち振るわれた光の弧が、その欠片たりとも逃さず炎の中に焼き滅ぼす。

 戦神−不知火 攻4500→暗黒の魔王ディアボロス 攻3000(破壊)
 巴 LP2000→500

「大きく削った……でも……」
「ああ。正直かなりまずいぜ、これは」

 巴のエースの一角でもある闇黒の魔王が倒されたことは間違いないのだが、素直にそれを喜ぶ気にはなれない外野2人。もっとも、それは糸巻本人にとっても同じだった。逆転したというのにその様子は晴れやかなものではなく、むしろ憔悴といった表現そのものの表情を隠そうともしない。
 そして実際、糸巻にとって今の状況はお世辞にも褒められたものではない。そもそもディアボロスは自己再生が極めて容易なモンスターであり、1度や2度戦闘破壊した程度ではあまり痛手となりはしない。そしてこのターン中にとどめを刺すことができなかったということは、つまり巴のターンがもう1度回ってくるということ。しかもレッド・リブートのデメリットにより彼はデッキから場に1枚のトラップ、砂塵の大竜巻をセットしている。

 戦神−不知火 攻4500→3000

「ターンエンド」
「私のターン。ドローをし、まず砂塵の大竜巻を発動!この効果により、場の魔法・罠カード1枚を破壊します」
「……」

 ごうごうとアンデットワールドに竜巻が唸り、はためく風が巴と糸巻の髪を、服を激しく揺らす。糸巻の場に存在する破壊可能なカードは、3枚。

「すでに見えている燕の太刀、アンデットワールド……ですが、それだけではありませんよね?先攻1ターン目に伏せたきり、いまだ頑なに発動されていないそのカード。自己再生能力を持つ私のディアボロス、そしてもとよりアンデット族である九尾の狐の前にアンデットワールドは大した意味をなさず、それぞれ相手の効果の対象にならないか破壊時にトークンを場に遺す彼らにとって燕の太刀もまた恐れるに足らず。私がレッド・リブートで伏せるカードに砂塵の大竜巻を選んだのは、その1枚をただ消し去るため。したがって、選ぶまでもありません」
「……」

 糸巻は険しい目で眼前の竜巻を睨みつけたまま、何も喋らない。砂塵の大竜巻が不浄の大地を巻き上げて、次第に彼女の元へと近づいてくる。その沈黙の意味を、誰もが確信した。何を伏せているにしても、これですべての望みは断たれることとなる。

「砂塵の大竜巻よ、私から見て右側にあるその伏せカードを破壊しなさい!」

 明確に対象を定められた竜巻が、意思を持つかのように軌道を変える。伏せカードが風にあおられ、めくられ、吹き飛ばされて
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