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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン37 白面金毛の悲願
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ーします」

 悪王アフリマ 攻1700

 召喚権を使い、やっていることはただの手札交換。しかし当然、それだけで済むはずもない。一度は祓われたはずの闇が、再びその場に満ちていく。消え失せたはずの漆黒が、そこかしこからとびきりの悪意と共に滲み出る。
 その中央で赤く輝く知性を持った2つの光は、闇黒の世界の主の瞳。千切れた鎖が地面をこすり、泣き声のような甲高い不快な音を立てる。

「そして闇属性モンスターが私のフィールドからリリースされたことにより、墓地から闇黒の魔王ディアボロスの効果を発動。このカードを特殊召喚します」

 闇黒の魔王ディアボロス 攻3000

「ちっ、もうディアボロスまでお出ましか?」
「もう少し何かしたいところですが、これぐらいでいいでしょう……バトルフェイズ、ディアボロスで灼熱の火霊使いヒータに攻撃、アフター・ザ・カタストロフ」

 黒い炎が大地を舐め、光さえも通らない闇の中に赤髪の魔法少女が飲み込まれる。インクをぶちまけたかのような炎の余波が、両手で防御姿勢をとった糸巻の姿も、その悲鳴さえも包み隠した。

 闇黒の魔王ディアボロス 攻3000→灼熱の火霊使いヒータ 攻1850(破壊)
 糸巻 LP2000→850

「糸巻さん!」
「うるせえ、ヒータの効果発動!リンク召喚したこのカードが相手に破壊された時、守備力1500以下の炎属性モンスターをデッキから手札に加える!」

 闇の炎を振り払い、その内部から糸巻の燃えるような赤髪が覗く。生々しい火傷の跡も、なおも力強いその瞳の光を消してはいない。

「不知火の武部、ですか。もっともそのカードを使うにしても、まずこの攻撃を防いでからの話ですが。貴女のことですから、どうせその伏せカードに何か仕掛けがあるんでしょう?ならばその防御札、剥がさせていただきますよ。九尾の狐でダイレクトアタック、九尾槍!」

 白面金毛の妖狐の尾が、生物の毛並みから瞬間的に金属の光沢に代わる。どこまでも伸びる大妖怪の槍が、糸巻めがけ鋭く突き出された。
 糸巻のフィールドには、現在伏せカードが3枚。そのうち2枚はレッド・リブートと燕の太刀であることをお互い承知しているが、まだ1枚未知のカードが残っている。当然その1枚により、この攻撃を耐え凌ぐことを巴は知っている。それぐらいのこともできないようでは、彼女に彼のライバル足りうる資格はないからだ。
 果たして糸巻は、そんな歪んだ信頼に見事応えて見せた。

「トラップ発動、恐撃!アタシの墓地からモンスター2体、イピリアとヒータを除外して、九尾の狐の攻撃力は0になる!」
「ディアボロスは効果の対象にできない……それさえなけりゃ、糸巻さんもここまで追いつめられなかったってのに」
「やっぱ強いねえあの人。糸巻さんも全く
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