ターン37 白面金毛の悲願
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たいだしな」
「……虫唾が走りますね」
お互いに、相手の打つ手は知り尽くしている。つまり、こうだ。シャドウ・ディストピアの1ターンに1度リリースのコストを相手の闇属性に肩代わりさせる効果によって、モンスター2体をリリースすることで自己再生のできる九尾の狐の蘇生召喚。これによりイピリアを除去しつつモンスターを展開でき、さらにドラッグウィリオンは自身の効果により1ターンに1度だけリリースで場を離れた際に自己再生が可能となる……それが巴の狙いだった。
そしてその定番コンボを知り尽くしていた糸巻は、だからこそこのタイミングまでディメンション・ゲートを温存していたわけだ。素材を並べたタイミングでイピリアを逃がしてしまっては、シンクロ召喚を取りやめてその2体から自前のコストのみで自己再生を使う手もあったろう。一見するとそれでも大差はないのだが、その場合物を言うのがシャドウ・ディストピアのもうひとつの効果、エンドフェイズごとにそのターンリリースされたモンスターの数までシャドウトークンをターンプレイヤーの場に発生させる能力である。それでは巴の場には最終的に、蘇生召喚によって貫通能力を得た九尾の狐とシャドウトークンが2体が残る計算となる。
だが、もしもシンクロ召喚を終えたこのタイミングまでイピリアをわざと置いておいたならば。それらすべての目論見は崩れ去り、コスト不足によって九尾の狐も効果を使えずドラッグウィリオンのみが棒立ちした状態でターンを終えざるを得なくなる。
「……バトルフェイズ。ドラッグウィリオンでダイレクトアタックです」
「トラップ発動、バージェストマ・カナディア!ドラッグウィリオンには裏守備になってもらう」
「まあ、通してはくれませんよね」
他にすることもない巴は、そのまま攻撃宣言を行うしかない。しかし仮にも初期ライフの半分を上回る数値によるダイレクトアタックを通すほど糸巻も甘くはなく、細長い体の古代生物が床を這い、無数の脚で糸巻の元へと走り込んでいたドラッグウィリオンの全身をその足先から締め上げた。杖を振り回してもがきながらの抵抗も空しくその体が1枚の裏向きのカードとなって沈黙したことで、互いのフィールドに動くものはいなくなった。
「カードを伏せ、ターンエンドです」
「アタシのターン。速攻魔法、ダブル・サイクロンを発動!アタシの場のディメンション・ゲートと、この辛気臭いフィールド魔法を破壊する」
「伏せカードではなく、ディストピアの方を狙ってきましたか」
言葉の割には驚いた風もなく、悪意に満ちた闇が晴れていく。もとより、あまり長時間にわたりこのフィールドを維持できるとは彼も期待していない。
そして相手のことを知り尽くしているのは、彼もまた同じだった。
「そしてディメンション・ゲートが破壊された時、こ
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