鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第三話
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と水弾で迎撃する。銀は水弾を切り裂き、水流をジグザグに飛びながら近づき、斧を振るう。だが、バーテックスは周囲に水弾を作り出し、連続で浴びせる。咄嗟に銀は斧で身を守るも、吹き飛ばされてしまう。彼女が着地する頃にはバーテックスは修復を完了させていた。
「クソっ!再生とかズルいぞ!こっちはできないのに!」
「ミノさん危ない!」
「園子! 助かっ」
「あっごめん、これ無」
せっかくの攻撃がすぐに修復されてしまい、悪態と文句を言う銀に向けて、バーテックスが水流を放つ。咄嗟に園子は銀の前に出て槍を突き出し、複数の穂先を傘のように展開、水流を受け止める。が、小学生の体では受け止めきることが出来ず、二人共吹っ飛ばされた。
「三ノ輪さん!乃木さん!これ以上は・・・!」
須美が弓を構え、連続で矢を射る。バーテックスは自身の周囲に薄い水の膜を張り、矢の威力を下げる。突き抜けるころには矢は力を失い、虚しくも落ちていく。
「?!?」
数十本は射ったのに・・・一発も・・・
その直後、バーテックスは水を圧縮させ、カッターの様にし須美を狙った。
咄嗟に飛んだ須美は回避に成功するが、頬を掠め、真っ赤な血が飛び散る。
当たったら、死ぬ。その事実に。
(あきらめちゃ・・・ダメなのに・・・)
須美の心は
(怖い・・・こわい・・・!)
ぽっきりとへし折れそうになっていた。その時。
「させるかぁぁぁぁ!!」
蓮が須美の前に躍り出て、モナドを横にし、水流を受けきった。
「あ・・・しら、とり君・・・」
「鷲尾さん、大丈夫!?」
「う、うん、平気・・・あっ危ない!」
蓮の背後から水弾が襲い掛かる。蓮はモナドで弾き飛ばす。
何故回避しないのか・・・疑問に思った須美だったが、答えは簡単だった。
私だった。白鳥君は私を守るために動かない、いや動けないのだ。
不甲斐なかった。あんな偉そうに指揮を執って置いて、自分だけ何もできていない。
そんな自分が情けなくなり涙が溢れてくる。
「白鳥君・・・逃げ」
「鷲尾さん、怖い?」
「え・・・?」
「僕はね、正直、滅茶苦茶怖い。でも、さ」
「・・・!?不味い!蓮!須美!そこから離れろ!」
須美に対し、己の心情を語る蓮に、バーテックスは水流のカッターを放つ準備を完了させていた。それに気づいた銀が叫ぶ。
「皆が、笑顔で、いられるのなら・・・!」
蓮はモナドを構える。
「皆が、怖い思いをするのなら・・・!」
「逃げろ!蓮!須美ぃぃぃぃ!」
「二人共、逃げてぇぇぇ!!」
銀と園子の叫びも虚しく、二人に向けて水流が発射される。
「僕が、戦うんだ!!」
そう告げた。その直後。
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