あたしってほんとバカ
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空に巻き上げられた魔女と綿の怪物へ、一気に水の槍が突き刺さった。
「次は、こうするから」
一瞬で魔女を葬った。
それを証明するように、結界が消滅、ハルトのそばに黒いタネのようなものが落ちてきた。
「さてと。次は……」
マーメイドが見据える先。水を浴び、ダメージを受けたバラアマゾンがいた。
「アンタだけだね」
迫ってくるバラアマゾン。
だが、マーメイドはその指揮棒で、明確にバラアマゾンの胸を突き刺した。
「___!」
口から血を吐き、マーメイドの肩にもたれかかるバラアマゾン。数回の痙攣ののち、バラアマゾンは動かなくなった。
「お休み。恭介」
そう言って、マーメイドは指揮棒を抜く。力の抜けたアマゾンは、病室の床に転がった。
マーメイドはしばらくバラの遺体を見下ろし、やがてハルトに振り向いた。
「……!」
『ドライバーオン プリーズ』
ハルトはウィザードライバーを起動させる。ハンドオーサーに手をかけたところで、マーメイドは両手を上げた。
「待った待った」
マーメイドはそう言いながら、その姿をさやかに変化させる。さっきまでの彼女とは違い、表情に余裕のある、澄ました顔だった。
「大道芸人さん。今、あんたと戦うつもりはないよ」
「……」
だが、ハルトは警戒を解かない。
それを見たさやかは、首を振りながら病室の窓に近づいた。
「待て!」
窓に手をかけたさやかへ、ハルトは大声を上げる。
「お前は……君は……」
「安心して。ファントムのこと、マーメイドになったときに粗方分かったけどさ。あたしは別に、人を絶望させてファントムを増やそうだなんて思っていないから」
「……」
「おや? その顔は信用していないって顔?」
さっきまで焦っていた少女と同一人物とは思えない。からかうようにケラケラ笑うさやかは、手を後ろで組む。
そのまま窓際へ腰かけるさやかへ、ハルトは尋ねた。
「聞かせてくれ。君は一体……どっちなんだ?」
「どっち?」
「さやかちゃんなのか? それともファントム……マーメイドなのか?」
その問いに、さやかは数秒きょとんとして、にっこりとほほ笑んだ。
「さあ? どっちでしょう?」
「……」
「それってさ。大道芸人さんにとっては関係あるの? ファントムになったあたしってさ。魔法使いさんにとっては倒すべき相手? それとも、それは中身依存?」
「質問に答えてくれたら教えるよ」
「あっははは。ごめんね。でも、それは教える気はないかな」
さやかは、まるでブランコのように窓際で足を揺らす。
「まあ、そんなにカッカしなくても、すぐにまた会えるよ。それより今は、アマゾンの方が優先じ
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