あたしってほんとバカ
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、この世界より消滅した。
その体が粉々に崩れ去り、現れたのは青い水の生命体。
「_____!」
その姿に、バラアマゾンは興奮したように襲い掛かる。園芸ハサミで、その首をもらい受けようとしていた。
だが。
バラアマゾンの顔をわしづかみにして食い止めるそれは、そのままバラアマゾンを突き飛ばした。
「さや……か……ちゃん……」
だが、それが美樹さやかではないことは、これまで怪人と戦ってきたハルトが一番理解していた。
音楽を指揮するようなしなやかな腕。陸上で生活する以上に、水中での活動を重点に置いたヒレの足。まるで姫のような青く、大きなマントと襟が特徴のそれは、明らかに人間ではない。
「救え……なかった……」
その事実に、ウィザードは膝をつく。そのショックに、思わずウィザードの変身が説かれてしまった。
そう。バラの魔女の園の中で。
「_________」
遠くか近くか。バラの魔女の唸り声が聞こえる。視界が上空からの影に覆われたのを、ハルトはどことなく遠くの光景に感じていた。
そして。
頭上に迫った体積を、水流が押し流した。
「……うるさいよ」
それは、紛れもなくさやかの声。だが、それが彼女のものだと認識できなかったのは、それが彼女の声色とは全く一致しなかったからにほかならない。
まるで冷徹な。深海のように冷たい声。
「……さやかちゃん……ごめん……救えなくて……」
ゆっくりと立ち上がる、さやかだったもの。
それが何者か。誰よりもハルトは理解していた。
「また……俺の目の前で……ファントムに……」
ファントム。
ゲートと呼ばれる、魔力を持った人間が深く絶望することによって生まれる魔人。
その時、ゲートの命を奪って出てくる。つまりもう。
「また……俺は……」
だが、そうしている間に、さやかだったファントムは、行動を開始していた。
指揮者のように、右手に持った棒を掲げる。まるで音楽を奏でているかのように棒を振ると、結界をどこからともなく押し寄せた水が支配した。
「っ!」
それは、バラアマゾンを。バラの魔女を。そして綿の怪物たちを。誰も彼も見境なく押し流していく。
「魔法使いさん」
その言葉をかけられるまで、ハルトは自身が波に巻き込まれていないことに気付かなかった。
「さやかちゃん……違う。君は……」
「ファントム。マーメイド。それが、あたしの名前……ってことかな」
ファントム、マーメイドは頭を掻いた。
「あんたには、一応最初は助けてもらった恩もあるし、今回は助けてあげるよ。でも……」
マーメイドはパチンと指を鳴らす。
すると、結界内の荒波が一気に霧散。上
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