あたしってほんとバカ
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「何でも?」
さやかは、その言葉に耳を傾けている。恭介が見えない相手と会話している彼女に戸惑っているようだが、この異常な結界の中では、どうしようもない。
バラの魔女の体当たりをソードガンでいなしながら、ウィザードは「やめろ!」と叫ぶが、さやかには届かない。
『そう。何でも。お金でも、命でも。あそこのウィザードたちが戦って手に入れられる願いを、君は魔法少女になることで叶えられるんだよ』
「それって……」
さやかが恭介を振り向く。正確には、彼女は恭介の腕を見下ろしていた。
「恭介の腕を……もう二度と、ケガしないようにできる?」
『問題ないね』
「よせ!」
今まさに、キュゥべえの耳がさやかの胸に触れようとしている。もう、ソードガンの銃弾も肉壁に阻まれて彼女を助けられない。
その時。
「うわああああああああああああああ!」
耳をつんざく悲鳴。発生源は、さやかのすぐ隣。
「恭介……?」
入院していた少年の体から、蒸気が噴出していた。それは、恭介の姿をどんどん包み隠していき、やがて人体の変形するような音だけが聞こえてくる。
「そんな……」
もう見たくない、溶原性細胞の効果。
無事なはずがなかった。感染していないはずがなかった。
「長期間入院していた人が、病院の水を飲まないわけがない……チノちゃんみたいな一週間ならともかく……ずっと入院していたんだから……」
蒸気の中から現れた恭介は、恭介ではない。
バラの庭園に咲く、一輪の大きなバラの花。目と鼻が全てバラの花となったアマゾン。
両肩と胸にもバラの花が咲き誇る。その両腕は、鋭い園芸用のハサミとなっており、綿の怪物たちをいとも簡単に切り捨てた。
「きょ……恭介……?」
さやかの言葉を、バラアマゾン___すでに恭介としての意識はないようで、もはや唸り声でしか口からでてこない___は悲鳴で掻き消す。そのままさやかの首元へ、そのハサミを振るった。
『コピー プリーズ』
間に合った。ウィザードが近くの綿の怪物を押し飛ばすと、さやかのすぐ隣に出現したウィザードのコピーが彼女を同じように押し飛ばす。少しでも遅れていたら、ウィザードの分身の首ではなく、さやかの首が飛んでいた。
「仕方ない……!」
ようやく包囲網を突破した。ウィザードは、さやかを付け狙うバラアマゾンへ、ウィザーソードガンで斬りかかる。
だが、園芸ハサミの攻撃もすさまじく、応戦するバラアマゾンの攻撃には油断できなかった。
「さやかちゃん!」
倒れた状態から、少しだけ起き上がろうとして固まっているさやかに、ウィザードは語り掛ける。
「しっかりして! 俺のそばから離れないで!」
だが、さやかは
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