あたしってほんとバカ
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「魔法……少女?」
さやかが、その名前を復唱している。
突然さやかがキュゥべえに釘付けになったことで、妖精を見れない恭介は首を大きく振ってさやかが何者としゃべっているのかを探ろうとしている。
「っ、邪魔だ!」
ウィザードはようやくバラの怪物を突き放し、綿の手下たちの軍勢へ斬り込む。だが、そのあまりの数に、ウィザードの全力をもってしてもキュゥべえを妨害するのには時間がかかる。
そうしている間にも、キュゥべえの話は続いていく。
『そうさ。ちょうど君は、魔法少女が背負うべき使命と直面している』
「何を言っているの?」
『あれさ』
キュゥべえは、ウィザードの背後に迫るバラの怪物を顎で指した。
その時、ウィザードの背後で重量の気配を感じる。即座にディフェンドを使用。背後に出現した魔法陣ごと、ウィザードの体は弾き飛ばされる。
起き上がりながら、ウィザードはその名を耳にした。
『そう。魔女を倒す。そのための魔法少女さ』
「魔女……?」
その言葉に、ウィザードは一瞬攻撃の手を緩めて、上空のバラの怪物を見あげる。
魔女という、中世ヨーロッパ等で俗説として広まった存在。イメージに全く似合わないが、あの怪物は魔女と呼ばれる怪物らしい。
バラの怪物改め、バラの魔女は、ウィザードへ口から酸の液体を放った。
「くそっ!」
『エクステンド プリーズ』
魔法陣により、腕が伸縮自在になる。片手の範囲で掴めるだけの綿の怪物を縛り上げ、魔女の液体へ投げ飛ばす。凄まじい酸のそれは、綿の怪物たちを完全に溶解した。
「おい、キュゥべえ!」
『何だいウィザード。さっきも言ったけど、今回僕は君には用はないんだ』
「この前はイヤでも接触してきたくせに、今回は真逆に俺のことは無視か」
『僕はこっちが本業だからね』
「だったら今日は副業に専念してもらおうかな!」
キュゥべえに向かって、ウィザードは発砲した。銀の鉛玉は、さやかに触れようとしたキュゥべえの耳を引っ込めた。
続けての鉛玉は、綿の怪物たちを薙ぎ倒しながら、キュゥべえをさやかから遠ざけていく。
『やれやれ。僕の仕事を邪魔しないでほしいんだけどね』
「聖杯戦争の監督役だろ? だったら、今この病院は聖杯戦争の真っただ中ってことになると思うけど」
キュゥべえはその言葉に、ため息をついた。
『やれやれ。どうして君たち人間は、自ら忌むものへ飛び込んでくるんだい?』
「これ以上他の人を戦いに巻き込むこともないでしょ」
『それは君が決めることではないよ。美樹さやか自身が決断することさ』
そういって、キュゥべえはさやかに近づく。
『君を魔女との戦いに投じてもらう代わりに、僕は君の願いを何でも叶えてあげられるよ』
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