第五百九十五話 正門を去ってその十一
[8]前話 [2]次話
「しかしだ」
「それでもだね」
「暴君ではなかったし愚かでもだ」
「なかったんだね」
「ただ芸術への傾倒が酷くな」
これはかなりだったらしい。
「そしてだ」
「自分で軍隊を率いられなくて」
「特にそこが問題でだ」
「失脚したんだね」
「やはり当時は自分で軍隊を率いられないことは深刻な欠点だった」
オクタヴィアヌスは率いることが出来たが身体が弱く軍事的才能に欠けていたので信頼する部下達に任せる様になった。
「だから最後はああなった」
「そうなんだね」
「しかし反面教師にするまでかというと」
「そこまではだね」
「いかなかった」
「そうなんだね」
「僕はそう思う」
ロミオに強い声で話した。
「そこまでとはな」
「成程ね」
「むしろ見習う部分もあった」
「市民の為に力を注いで」
「奴隷に寛容であったしな」
「むしろ水準以上の皇帝だったかもね」
「そうかもな」
アルフレドはロミオの言葉を否定しなかった。
「ローマ皇帝はむしろ実際の暴君もいた」
「リアルのだね」
「そうだったしな」
「ネロみたいに創作じゃなくてだね」
「現実にだ」
「そうした暴君がいたんだね」
「そうだったしな」
それでというのだ。
「そうした皇帝達と比べると」
「ネロは本当に水準以上だね」
「むしろな、だから市民にも人気があった」
「実は支持されていたんだ」
「死んだ時も実は生きていると思われてだ」
それでというのだ。
「ローマに帰って来ると言われていた」
「それでまた皇帝になるんだね」
「そう言われていたし墓にはお花が絶えなかった」
「本当に人気あったんだ」
「そうだった、反面教師になれば」
「そんなことはないね」
「死ねば喜ばれる」
そうなるというのだ。
「やっと死んでくれただの言われる」
「死んでそれは嫌だね」
「全くだ、だがこれまで話した馬鹿もそうでだ」
それでというのだ。
「他の馬鹿もな」
「反面教師になれば」
「死んだらそう思われる、死ぬべきであるしな」
「そう思うと本当に反面教師にはなりたくないね」
「全くだ」
アルフレドは心から思った、そうして正門を見てから自分達のクラスに帰った。そうして後片付けをした。
正門を去って 完
2020・11・9
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ