第六十二話 二人乗りその三
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「一体」
「はい、丁度いい場所じゃないですか」
「何が丁度いいのかしら」
「二人で行くには」
これが阿波野君の返事でした。
「いいと思いまして」
「それで、ですか」
「そこにと言いました」
「そうだったのね」
「そこでいいですよね」
「どうして公園かわからないけれど」
このことがわからないままでした。
私は阿波野君と一緒に自転車で公園に入りました、平日のお昼の公園は凄く平和でしかも私達以外には誰もいません。
その中で二人で滑り台やブランコを見つつ歩いていますと。
阿波野君がここでまた私に言ってきました、
「こうして先輩と一緒に公園に来たかったんです」
「どうしてなの?」
「いや、こうした普通のことが」
「公園を一緒に行くことが?」
「うちの家なくて」
「そうだったの」
「結構揉めごとの多い一族で」
それでというのです。
「もう自分だけ遊びに出て子供のことはほったらかしとか」
「酷い人がいるわね」
「さっきお話したどうしようもない母親です」
阿波野君のお祖母さんと思われる人がというのです。
「長男ばかり甘やかして」
「それで自分は遊んでばかりで」
「しかも一族で揉めごとがあると」
その時はといいますと。
「絶対に一方にいるんですよ」
「揉めごとが好きな人?」
「というか我ばかりで執念深くて欲も強くてものごとを逆手に変に勘ぐって訳のわからないこと言うし」
「何か凄い人なのね」
「それで一族で話しかける人いないですけれど」
それでもというのです。
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