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戦国異伝供書
第百十九話 悪人達の絵その七

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「よいな」
「そしてですな」
「兄上が総大将となられ」
「我等を率いられますな」
「そうする、先陣は又四郎が務めよ」
 こう義弘に告げた。
「よいな」
「さすれば」
「軍師は又六郎でじゃ」
 今度は歳久に告げた。
「存分に策を出すのじゃ」
「その様に」
「又七郎はいざという時に一軍を率い」
 最後に家久に告げた。
「戦を決してもらうぞ」
「その様に」
「わしは軍全体を率いる」
 最後に自分のことを話した。
「そしてじゃ」
「戦の場に赴き」
「戦全体をご覧になられ」
「そして采配を執られますな」
「そうする、ではその時に行くぞ」
 こう言ってだった。
 義久は軍勢をまずは飯野城に向けて進めた、四兄弟全員が義久の言う通りに出陣して城に入ったがそこでだった。
 義久は物見の言葉を聞いて言った。
「三千で間違いないな」
「はい、敵兵の数は」
 その物見に出た者が答えた。
「間違いありませぬ」
「わかった」
 義久は鷹揚に頷いた、だが。
 家臣達からはその兵の数にこう言った。
「多いですな」
「伊東家も必死ですな」
「それだけの兵を出してくるとは」
「我等より遥かに多いですな」
「何倍もありますな」
「我等の数は五百ばかりです」
 歳久が言ってきた。
「城の兵を入れても七百」
「そればかりであるな」
「ここに出せた兵はです」
「より出したかったがな」
「はい、ですが」
 それはとだ、歳久は長兄に苦い顔で述べた。
「肥後や日向の他のところにもです」
「兵を向けておるからのう」
「特にです」
「真幸院にな」
「ですから」
「ここに出せる兵はこれだけじゃな」
「七百ばかりです」
 これだけだというのだ。
「そのうち二百は城の備えに置き」
「そしてじゃな」
「残り五百で戦います」
「五百で三千か」
「これはかなり厳しい戦です」
 歳久はあえてこう言った。
「まともに戦っては勝てませぬ」
「そうであるな」
「伊東家は錚々たる顔触れが出ていますし」
「伊東家のお歴々がじゃな」
「どの方も出ておられます」
 それだけにというのだ。
「厳しい戦になります」
「普通に戦えば勝てぬな」
「はい、ですから」
 それ故にとだ、歳久はここで口調を変えて言った。
「ここはです」
「策を用いるな」
「その考えです」
「ではどの様にする」
「伏兵を用いましょう」
 歳久はすぐに言った。
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