第七幕その一
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第七幕 川添いを歩いていると
恵梨香達は黄金の毛の羊が行った森に向かっていきます、その中でふと右手に川を見ました。川岸は小石になっていますが。
その小石の川岸から音が聞こえました、その音はといいますと。
「何かシャリシャリって聞こえるね」
「そうね」
ガラスの猫は木挽きの馬の言葉に応えました。
「川の方から」
「何かな」
「どうもこれは」
モジャボロもその音を聞いて言います。
「豆を研ぐ様な」
「そんな音だね」
弟さんも言います。
「聞いてると」
「そうだね」
「ううん、これって」
恵梨香がここで言いました。
「小豆を研ぐ音かしら」
「小豆?」
「ええ、日本ではお菓子によく使うお豆なの」
木挽きの馬に答えました。
「おはぎとかたい焼きとかにね」
「ああ、餡子だね」
「それに使うの、羊羹にもね」
「色々使うんだね」
「そうしたお豆だけれど」
恵梨香はさらに言いました。
「それが川の方から聞こえるなら」
「聞こえるなら?」
「これは妖怪かしらね」
「日本の妖怪かな」
「そうじゃないかしら」
「おっ、気付いたか」
ここで川の方から声がしました。
「わしのことに」
「その声は」
「ははは、前に山の方で会ったな」
頭の上のところが剥げて昔の日本の服を着たお爺さんの姿をした妖怪が川の方に出てきました、それの妖怪が恵梨香に笑顔で言ってきました。
「そうだったな」
「確か小豆洗いさんよね」
「そうじゃ、覚えていてくれたか」
「あの時も凄く楽しかったからね」
恵梨香は小豆洗いににこりと笑って答えました。
「だからね」
「そうか、それは何よりじゃ」
「それでどうして今はここにいるのかしら」
「いや、川辺でな」
そこでというのです。
「皆で遊ぼうと話してな」
「それでなの」
「魚を鍋にして食ってな」
「お酒も飲んでだよ」
今度は垂れ耳の三毛猫に似た妖怪が出てきました。
「楽しもうって話をしたんだよ」
「そういう君は」
カルロスはその妖怪を見て言いました。
「すねこすりだね」
「そうだよ」
妖怪の方も答えました。
「おいらの名前はそうさ」
「ははは、わざわざここまで皆で旅行に来てな」
今度は四角い顔で白い着物と長い髪の毛のお婆さんの姿の妖怪でした。
「鯉を食おうって話になってのう」
「砂かけ婆ね」
ナターシャはそのお婆さんの妖怪を見て言いました。
「貴女は」
「そうじゃよ」
砂かけ婆はナターシャに温和な笑顔で答えました。
「砂を出せるぞ」
「あの山から皆で楽しくここまで旅をしてばい」
今度はひらひらと飛ぶ布に顔があって両手がある妖怪です。
「今度は鯉こくばい」
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