第五百九十五話 正門を去ってその二
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「そういうのはね」
「疑われる以上にね」
「嫌だね」
「最悪よ、恨みを買って」
そうしてだ。
「殺されるのってね」
「嫌だよね」
「それで死体になって発見されて」
「色々言われるんだよね」
「実は嫌な奴だったとかね」
「問題があったとか」
「もう死んでから」
殺されてからだというのだ、推理ものではそうして色々言われるのも場面の一つだ。それも絶対と言っていい。
「それってね」
「嫌だね」
「ほら、オーストリアの」
ビアンカはここでこう言った。
「十九世紀の皇太子の」
「ああ、うたかたの恋ね」
「ルドルフ皇太子ね」
「あの人心中だよね」
「恋人と自殺したってね」
「言われるね」
「けれどどうもね」
その心中の話がというのだ。
「暗殺とかもね」
「言われてるんだ」
「政治的な」
「それで殺されて」
「それを隠す為に」
「心中ってことにされたんだ」
「そうした説もあったのよ、それで皇太子さんもね」
そのルドルフ皇太子もというのだ。
「色々言われてるのよ」
「そんなんだ」
「政治的な考えはどうとか」
ビアンカはさらに話した、このことは歴史的にも言われていて検証もされており何かといわれている。
「女性関係とかも」
「心中したし」
「どうも悪い女遊びもしていて」
「女癖悪かったんだ」
「そうらしいの」
そうした話もこの皇太子にはある。
「これが」
「それでそのこともなんだ」
「言われていて」
それでというのだ。
「もう何かとね」
「今だにだね」
「言われているのよ」
「女性関係からも」
「心中した人奥さんじゃなかったし」
つまり皇太子妃ではなかったのだ。
「愛人さんで」
「何か太宰治みたいだね」
ロミオはその話を聞いてビアンカにこう返した。
「奥さんいて愛人と心中なんて」
「ああ、言われてみれば」
ビアンカも言われて気付いた。
「同じパターンね」
「そうだよね」
「太宰もね」
二十世紀のこの作家もというのだ、この時代では連合全体で各国の言語そして連合の公用語である銀河語でも翻訳されて読まれている。
「そうだったわね」
「そうだよね」
「まあ愛人の人とね」
「心中して」
「それからね」
「色々言われているんだ」
「暗殺されたとも」
心中は実は、とだ。
「言われてるの。亡骸は葬儀の時手袋していたけれど」
「その手袋に?」
「実は手がなくて」
「なくなっていたんだ、手が」
「そうしたお話もあって」
それでというのだ。
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