第一章
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兎少女
兎少女と聞いてだ、浜口花道はこう言った、通っている高校ではバスケで汗をかいている。細目で鋭い目で眉は短い。口元は引き締まっていて赤く染めた髪の毛をリーゼントにしている。背は一八〇あり逞しい体格をしている。聞いたのは部活が終わって部室で着替えている時だ。
「バニーガールか」
「それそのまま英語にしただけだろ」
「兎少女って言葉をな」
「ただそれだけだろ」
「何も捻りないよな」
「けれどな」
上だは黒のシャツ下は派手な柄のトランクス姿で言う。
「兎少女って言ったらな」
「だから英訳するなって」
「そのまま兎少女だよ」
「それでいいんだよ」
「そうか、それでその兎少女がどうしたんだよ」
花道は自分と同じくバスケに励んでいる友人達に訪ね返した。
「それで」
「何かそんな娘が転校してくるらしいんだよ」
「うちの学校にな」
「何でも神奈川の高校バスケで有名な娘でな」
「滅茶苦茶出来る娘らしいんだよ」
「そうなんだな、神奈川からこの茨城までか」
花道はあらためて言った、ここまで聞いて。
「来るんだな」
「親父さんの転勤でな」
「それで来たらしいな」
「ここまでな」
「わざわざ茨城までな」
「そうか、神奈川から茨城ってな」
花道はこうも言った。
「都落ちって感じするな」
「それは言わないでおこうな」
「茨城が田舎だって認めてる様なことだしな」
「それは言わないでな」
「考えないでおこうな」
「そうだな、茨城は都会だよな」
花道は今度は県民として述べた。
「関東にあるしな」
「水戸藩あっただろ」
「これでも人多いんだぞ」
「納豆だって美味いぞ」
「甲子園の優勝校だって出してるんだぞ」
「茨城馬鹿にするな」
「群馬や栃木に負けるな」
部員たちは口々に言った、そのうえで着替え終えると部室から出て家に帰った。そうして一週間後だった。
その噂の神奈川からの転校生が来た、しかも花道のクラスに。花道はその一四二センチしかない黒髪を左で括って口元が兎みたいな風になっているあどけない目で濃い水色のブレザーとスカートそして赤ネクタイとピンクのブラウスの制服姿の少女を見てだった。
部活がはじまる時に部室で仲間達に言った。
「うちのクラスに来たけれどな」
「ああ、兎少女か」
「確か山県あすかって言ったな」
「あの娘のことか」
「俺のクラスに来たけれどな」
ちなみにクラスは一年C組である。
「小さいぞ、一四二位しかないぞ」
「おい、そりゃまた小さいな」
「一四二ってな」
「その背でバスケ出来るのかよ」
「バスケはやっぱり背が必要だろ」
「それで出来るのかよ」
「俺もそのことがな」
まさにとだ、花道はジャージに着替えつつ
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