第三章
[8]前話
暫くして勢いが弱まりぽつぽつとなってだった。
止んだ、地面は池の様になっていたがそれでもだった。
もう空は雲がなくなり青空が見えてきていた、麻里佳はその青空を見て驚いて言った。
「さっきまであんなに降っていたのに」
「それがよね」
「もう止んで」
そしてというのだ。
「お日様も出てきたわ」
「これが夕立ちなの」
娘の笑顔で話した、明るいそれで。
「物凄く降るけれどね」
「暫くしたら止むのね」
「それで雲もなくなって」
雨を降らせたそれもというのだ。
「それで晴れるのよ」
「不思議ね」
その青空を見てだ、麻里佳は言った。
「あんなに降っていたのに」
「そうでしょ、それで雨が降った後のお外はね」
母は今度はそちらの話をした。
「涼しくなって雨の後の道と青空、それにお日様が凄く奇麗だから」
「それでなの」
「凄くいいわ、だからね」
「それでなの」
「観に行きましょう」
「それでお外に出るのね」
「そうよ」
その通りだと娘に話した。
「それじゃあね」
「今からなのね」
「お母さんと二人でお買いもの行きましょう」
近所のスーパーまでだ、丁度夕食の食材を買う為だ。そして家に帰って来た夫と三人で楽しい夕食を摂ることも考えていた。
「そうしましょう」
「うん、じゃあね」
麻里佳は母の言葉に笑顔で頷いた、そうして。
その手を握られて家を出た、雨上がりで濡れたままのアスファルトは濡れているが雨で冷やされすっかり涼しくなった空気は澄んでいて。
青空は広がっていてそこにある日の光は爽やかだった、麻里佳はその中に出て満面の笑みになった、そうして母と一緒にスーパーに行った。
この時から麻里佳は夕立ちの後が大好きになった、そうして夏の夕立ちの後は必ず外出する様になった。その素敵な時を楽しむ為に。
大雨の後で 完
2020・6・12
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