第三章
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この時から数年後乗介はラーメンの腕をさらにあげチェーン店の中でも屈指のラーメン職人となり。
店長にもなった、だがその彼にだ。
鉄男と道子が連れて来た二人の息子がカウンターの中から自分達にラーメンを出してきた彼にこんなことを言ってきた。
「叔父ちゃんそっくりな子が僕の幼稚園にもいるよ」
「その子は恰好いいのかい?」
「ううん、可愛いんだ」
「可愛い?」
「幼稚園の人気者でいつも皆で遊んであげてお散歩に連れて行ったりご飯あげたりしているんだ」
「ご飯?」
「僕は動物係だから特にね」
こう乗介に言うのだった。
「そうしてあげてるんだ」
「その子って誰だい?」
乗介は甥の話がどうもおかしいと思って問うた。
「一体」
「うん、マイクロ豚の太郎だよ」
甥は叔父に無邪気に答えた。
「とても可愛くて愛嬌があって皆の人気者だよ」
「豚って」
乗介はそう言われてだった。
ついついスープ用の鍋の中の豚骨や切ったばかりのチャーシューを見た、そうして兄に項垂れた顔で言った。
「兄貴、俺って」
「やっぱりな」
兄は弟から視線を逸らした、下にやって。
そうしてだ、こう彼に言った。
「痩せろ、成人病になってるか?」
「いや、それはまだだけれどな」
「それじゃあな」
「ならないうちにか」
「そうしろ」
「・・・・・・ああ」
ここで乗介もわかった、そしてだった。
彼は家に帰ると妻の鏡花一四二センチ位の背で黒髪を長く伸ばしていて黒い目が楚々とした感じで家で人形作家もしている彼女に店で甥と兄に言われたことを話した、そして妻に言った。
「俺痩せないと駄目か」
「私は成人病にならなかったら」
それでとだ、妻は自分が作った鶏の唐揚げを食べている彼に話した。
「それで」
「いいか?」
「けれど気になるのだったら」
それならともだ、妻は夫に話した。
「やっぱり」
「痩せた方がいいか」
「食べるものを考えて。私もそうしたもの作るし」
それでというのだ。
「後は時間を見付けて歩いたり自転車に乗ったり」
「ずっと車だしな、俺」
「プールで泳いだり」
運動をしてというのだ。
「そうしたら」
「そうだよな、豚みたいって言われたしな」
流石に彼も堪えた、見れば高校時代とは別人の様に太り体重は百二十は優にある。もっと言えば髪の毛も薄くなってきている。全体的に脂ぎっている。
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