アマゾン態
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タネのようなオブジェが突き刺さっていた。
「あんなもの、あったっけ?」
さやかがそんな言葉を言った直後。
空間が、ぐにゃりと歪みだした。
「え?」
白と、汚れた黒赤が、徐々に斑色に染まっていく。やがて病室は、完全に人工物ではない別物___むしろ、前回の赤黒の結界に近い___へ変貌した。
「なっ?」
やがてバラ園のようになったその場所で、すぐ近くに現れた巨大生物。ピンクの体、蝶の翼。緑の滴る顔には、無数のバラが植え付けられている。
アマゾンでもファントムでも、ましてやサーヴァントでもない謎のそれは、その巨体でハルト、さやか、恭介を押しつぶそうとした。
「う、うわあああああああ!」
「変身!」
『ランド プリーズ』
すさかず土のウィザードに変身、その巨体を両手で受け止めた。その重量に、力自慢のランドスタイルでも旗色が悪くなる。
「おりゃあああ!」
ウィザードは、張り手で怪物を突き飛ばす。
窮屈な病室の広さをみうしなうほどの 広大な結界の中、怪物は蝶のように舞い、蜂のように攻め立てる。
『フレイム プリーズ』
フレイムスタイルで攻撃を回避し、その顔面にスラッシュストライクを叩き込む。図体が大きい分ダメージも軽微なようだが、それでも痛みにより大きく後退させることができた。
「よし……勝てない相手ではないな。キックストライクでいけるか?」
だが、そこまで魔力が持つだろうか。そんな心配をしていたら。
「うわあああああああ!」
突如として響いた、さやかの悲鳴。
振り向けば、まるで綿のような小さな怪物たちが、二人に襲い掛かっていた。まるでひげのようなものを生やした植物のようなそれらは、全身を震わせながら動いていた。
「手下がいたのか!」
ソードガンで発砲するも、そんな豆鉄砲では怪物たちの勢いは止まらない。
『コネクト プリーズ』
コネクトの魔法陣をさやかと恭介の前に出現、ソードガンで綿の怪物たちを切り裂いていく。
「走って!」
ウィザードの言葉に、さやかが恭介の手を引いて逃げる。だが、群なす怪物たちの方が速い。
「くっ……」
ウィザードは二人を優先し、バラの怪物へ背を向けた。だが、それは敵へ油断する以上の悪手である。
『________』
バラの怪物の唸り声に気付いた時にはもう遅い。その重量がウィザードの背中に炸裂、その体がさやかたちとは明後日の方向へ吹き飛ぶ。
「ぐあっ……」
ダメージは小さい。だが、すでにさやかたちとの間にはバラの怪物が入っており、助けにいくのは難しい。
さらに悪い状況は重なるもの。逃げているさやかと恭介の前に、あの妖精が現れた。
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