アマゾン態
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「ハルトさん!」
「行って! 友奈ちゃん!」
拘束を振りほどき、生身で蹴りを入れながらハルトは叫ぶ。
迷い気味に階段を急ぐ友奈を見送りながら、ハルトはウィザードライバーを起動させた。
「変身!」
『ハリケーン プリーズ』
再び接近を図るハゲタカアマゾンの顔面を蹴り飛ばし、すぐに指輪を取り付ける。。
『チョーイイネ キックストライク』
スピードに優れる必殺技。緑の弾丸となったウィザード最速の一撃は、ハゲタカアマゾンの上半身を吹き飛ばした。
「……」
人間の死に方ではない。残ったハゲタカアマゾンだったものを見下ろしながら、ウィザードはハルトに戻る。
「もう……ここには、アマゾンしかいないのか……?」
クトリは無事なのだろうか。
彼女と千翼がいる上の階へ行こうとすると、物音に足を止めた。
「またアマゾン?」
さっきまでの騒ぎに一切気付かなかったのか。近くの病室から、物音が聞こえる。
その方向に向けていると、やがて物音は話し声であることを知ると安堵した。
周囲が血まみれになっているのに対し、その部屋はほとんど綺麗な状態だった。ゆっくり扉を開けると、そこにはまだ無事な病人の姿があった。
「生き残りがいた……」
喜びを隠しきれず、ハルトは部屋に入る。
入院していた少年___多分中学生くらい___は、静かに窓の外へ向けていた顔をこちらに向けた。
ハルトの姿を見て一瞬引き攣った表情をした彼を、ハルトは安心させるように宥める。
「あ、大丈夫だよ。俺はアマゾンじゃない。君たちを助けに来たんだ」
「助けに……?」
ハルトの言葉に、少年は半信半疑ながら安堵の息を吐いた。
「あれ? この前の大道芸人?」
その声は、ベッドではなく、入口近くより飛んできた。青い髪の少女は、今にもつかみかかろうという姿勢で固まっている。最初ギョッとした表情をしていたが、ハルトの姿にほっとしていた。
「君は確か……美樹さやかちゃん……だったっけ?」
以前まどかの友人ということで紹介された顔。さやかは、ハルトが入ったと同時に扉を閉めた。
「大道芸人さん……あんた、その体……」
引き攣った顔のさやかは、アマゾンたちとの戦いで傷ついた体を指さす。
ハルトは笑いながら、
「頑張って切り抜けてきた。でもよかった……無事で」
「外、アマゾンでいっぱいでしょ? どうやって?」
「それは脱出したあとで教えてあげる。大丈夫。安全に逃げられるから速く逃げよう」
「う、うん……行こう、恭介。……あれ?」
恭介に首を貸すさやかが首を傾げる。同時にハルトも、妙な音に振り向いた。
何かが刺さった音。床に、小さな黒く、丸い……
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