最終章:無限の可能性
第272話「音を重ね、奏でる」
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につれ、その魔力の動きを察知されてしまったのだ。
“意志”を伴えば、確実にダメージを負わせられる威力だからこそ、神も決して警戒を緩めずにいた。
「唯一通じる手札は決して切らせん。……このまま千日手になるか?」
「………」
既に千日手の自覚は奏にもある。
そして、もうそれを打開できないと神が思っていると、確信した。
「―――お断りよ」
大きく息を吐き、間合いを取ると同時に微笑むように奏は言った。
「ガードスキル“Absorb”」
分身を本体に還元するスキルを使う。
当然、それも“防がれ”るため、連打するようにゴリ押して使用した。
そして、分身が戻ってくる。
―――“Angel Beats-Orchestra-”
「ッ―――!?」
直後、極光が神を呑み込んだ。
張られていた障壁を容易く破る程の“意志”と威力の攻撃が、奏から放たれたのだ。
「……倒し切れなかったわね」
対し、奏は当然と言った様子で結果を見ていた。
分身を戻した際の反動も想定していたのか、大して堪えていない。
むしろ、分身一人一人が“意志”を強く持っていたようで、回復していた程だ。
「がはっ……!?な、何、が……!?」
「オーケストラは、一つ一つの楽器の音を重ね、一つの音楽として成り立たせるわ。……音を重ね、奏でる。それを私もやっただけの事」
分身が、それぞれ術式の一部と魔力を用意しておく。
その分身を本体に戻す際、術式の欠片は合わさり、完成する。
後は用意していた魔力で魔法を即座に発動という流れだ。
当然、分身達の“意志”も戻ってくるため、その魔法が“防がれ”る事はない。
「耐えたのは、予想外だったけどね」
「っ、ぁ……!?」
神は息を呑んだ。
自身の守りを容易く打ち破る攻撃。
それを、奏はこの時まで隠し通していたのだ。
そして、その切り札は確かに神を打ちのめす威力を持つ。
そうなれば、神も戦慄せざるを得なかった。
「ッ、だ、だが……一度耐えれば、もう……!」
「それは」
「どうかしら?」
「なッ……!?」
再び奏が増える。
“防がれ”る事で阻止されていた分身が、使えるようになっていたのだ。
「一度大きなダメージを受けた事で、貴方の“性質”による干渉が途切れた」
「そうなれば、分身も再度可能よ」
「このように、ね」
増える。増える。
鼠算式の如く、奏の数が神と“天使”と同等に増えていく。
神も再度“防ごう”とするが、“意志”を貫く事で奏はそれを跳ね除ける。
「貴方は言ったわよね?“これで
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