最終章:無限の可能性
第272話「音を重ね、奏でる」
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を浮かべる神に、奏は顔を僅かに顰める。
「(……やっぱり、この神は“性質”にしてはおかしい。歪んでいる……!)」
原則、神界の者はその“性質”を思わせる性格をしている。
光の類であれば善人、闇であれば悪人と言ったように、大まかな区分もある。
だが、目の前の“防ぐ性質”の神は、明らかに悪人染みた性格をしていた。
「(……考え方を変えるのよ。“天使奏”としての捉え方だと歪んで見えても、神界では特別おかしい訳ではないかもしれない)」
ミエラの知識から、神の歪さをを推測する。
しかし、その暇はなく、攻撃の回避を強いられる。
「なぜ……なぜ貴方は、イリスに味方する……!?」
「今更そんな事を聞くのか?」
「貴方は、あまりにも在り方が歪すぎる……!」
思わず、奏は問いかけていた。
その問いに、神は鼻で笑うようにあっさりと答える。
「俺が“性質”に沿う事を“防いで”しまったからだ」
「ッ―――!?」
回答を聞き、奏は息を呑んだ。
普段なら、理解はしきれなかっただろう。
だが、ミエラの経験を引き継いでいるがために、理解出来てしまった。
「……一種の、アイデンティティの崩壊……」
“性質”に沿う事を否定する。……否、否定して“しまう”。
そうなれば、自我の改変、性格の改竄と変わらない。
他の同じ“防ぐ性質”の神が避けていた事を、目の前の神が行ったのだ。
「だから、歪んだ……!イリスの“闇”で洗脳されずに、それを受け入れてしまう程に……!秩序を保つ側の“性質”なはずなのに、それと敵対した……!」
「その通りだ。……説得、及び洗脳の解除など、考えても無駄だ」
歪だった。だが、それでいて奏は納得もしていた。
明らかに“意志”の通りが悪かったのだ。
普通の“性質”ならば、比較的“意志”を貫きやすかった。
しかし、その在り方を“防いで”しまったがために、“領域”が歪になった。
そのため、“意志”を貫いても“性質”による拘束から抜け出せなかったのだ。
「それと、もう見切った」
「ぇ……ッ!?」
躱した方向に、不可視の壁が現れた。
高速移動中故に、奏はそれを躱し切れずに激突する。
「(まずい……!)」
動きを止めた。その上、神は“見切った”と言った。
そこから予測できる未来。それは……
「かはっ……!?」
……不可避の一撃だ。
先読みされた攻撃を奏は躱せず、理力の閃光が胴を貫いた。
「ッ……!」
ただの閃光ではなく、それは針となって奏を地面に縫い付けた。
そして、抜け出す前にその行動を“防がれ”る。
「ど
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