最終章:無限の可能性
第272話「音を重ね、奏でる」
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ないが、ミエラの経験を引き継いだ今ならば、正面から速さで圧倒出来るぐらいには強くなっている。
「ちっ……!」
「っ……!」
普通の攻撃が当たらないのならばと、神は理力を放出する。
全方位への攻撃ならば、奏も飛び退かざるを得なかった。
だが、すぐにその動きを反転。
転移魔法を利用し、攻撃を飛び越えて再び肉薄する。
「はぁぁっ……!」
舞うように刃を繰り出し、回避と同時に蹴りも叩き込む。
しかし、結局千日手に変わりはない。
奏の攻撃は通じず、そして神の攻撃は奏に当たらない。
不利なのは奏で、このままでは奏の気力が尽きるのが先になるだろう。
防御にさえ注意を払えばいい神と違い、奏は常に全力で動き続けなければ“性質”によって止められてしまうからだ。
「……っ」
まさに旋風のように、攻撃し続ける。
反撃は空を切り、何十発もの連撃が一息の下に叩き込まれていく。
「む……!?」
そして、変化が訪れた。
あれほど強固だった障壁に、僅かとは言え罅が入ったのだ。
「そこ……ッ!」
すかさず、奏がそこを突く。
だが、刃は半ばで止まり、それ以上は進まない。
「動きを止めたな?」
「ッ―――!」
それが“誘い”だと気づいた時には、僅かばかり遅かった。
幸い、突き刺した刃は魔力で生成したもの。刃さえ消せばすぐに動けた。
それでも、至近距離で放たれた理力の砲撃を躱し切れなかった。
「くっ……!」
「また、動きを止めたな!」
「しまっ……!?」
そして、その攻撃の怯みから動けなくなる。
理力を発揮し、全力で次の行動を“防いだ”のだ。
「ッッ……!」
「足掻くか……!」
だが、“意志”はまだ足掻ける。
全力で抵抗する事で、少しでも気を緩めれば動けるぐらいにまで拮抗させる。
「……私の目的は、足止め……!膠着状態になっても、それだけで私の役目は果たされる……!こうしている間にも、他の戦況は進んでいくわ……!」
「だから、どうした」
「っ……!」
動揺を誘うために発言したが、まるで動じない。
「足止めが目的なのは、俺も同じだ」
「……そう。なら、せいぜい時間を稼ぐ事ね……!」
相手も目的は同じ。
ならば、後は真っ向からぶつかり合うしかない。
奏はそう判断し、出し惜しみしていた力を開放する。
最早、後の戦いの事は考えない。
今この戦いに全力を注ぐつもりだ。
「なに……!?」
神が驚きの声を上げる。
奏の姿がブレ始めたのだ。
それは、次の行動を“防ぐ”事が追い付かなくなってきた証だ。
奏がこの戦いに勝つという“意志”を
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