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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
難航-すれちがう-
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な海だ。

「思わずずっと見ちゃうな…これは。」

太陽に照らされキラキラと光る海。
世界が崩壊してからだろうか、やたらと綺麗な気がする。
それに噂に聞いたが東京の海も沖縄に引けをとらないくらい綺麗になっているそうだ。
なんなら普通に泳げるくらい。

「なぁ、武蔵ちゃん。」
「何かしら?」

隣にいる彼女に話しかける。

「世界が崩壊したことって…本当に嫌なことだらけなのかな。」
「…さぁ?受け止め方次第じゃない?」
「だとしたら、不謹慎だけど俺は良かったと思うんだ。」

その場に座り込み、ただ海を眺めながら話を続ける。

「世界がこうなる前はさ、気弱で、ヘタレで、やりたいこともできないままの人間だった。」
「…。」
「でも世界がこうなった後、変われた。人に対してビクビクしなくなったし、いくらか勇気ももてたと思う。少なくとも…過去の自分とはおサラバできたとは思うんだ。」

同じように隣に座りただ黙って話を聞く武蔵ちゃん。

「それに、一番良かったのは…」
「…?」
「武蔵ちゃん、君にこうして会えたことだ。」
「…え、あ、はい!?」

突然鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。

「武蔵ちゃんが俺のサーヴァントになった。そう思った時、やっぱり滅茶苦茶嬉しかったんだ。だから俺もこのままじゃダメだって思えた。武蔵ちゃんにふさわしいマスターになれるよう、変わらなきゃなって思えた。」
「そ、そう?どういたしまして。」

と、何か手に触れる感触。
なんだと思い見てみると、俺の手に彼女の手が重ねられていた。

「…武蔵ちゃん?」
「あ、これは!!ごめんなさいね!ついうっかり!!やだなーもー!私ったら何してるんだか!!」

さっさと手をどけ、まるで恥ずかしさを誤魔化すかのようにぎこちない笑みを浮かべながら頭を?く彼女。

…何か、気に入らないことでもしてしまったのだろうか?

「さ!早く行きましょ大和くん!ともかく日没までに泊まれるところを探すとしましょうか!!」

スっと立ち上がり、武蔵ちゃんはこの場を去ろうとする。
おいていかれるわけにはいかないので、俺も慌ててついていった。

?


あの日からもうすぐ3ヶ月が経とうとしている。
大和くんは仕事に一生懸命だし、その合間の稽古も一切手を抜くつもりはないみたい。
当然、サーヴァントとして大和くんには地獄までついていくつもりだし強くなりたいと言うなら私はどこまでも付き合った。

けど、これだけ経ってもまだ"あっち"の方は一歩たりとも前進していない。
そう、『人並みの恋愛をしてみたかった』という大和くんの願いだ。
たまには一緒に寝てみよっかなーとか。どさくさに紛れて手でも繋いでなろうかなーなんて思ったりもするが
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