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戦国異伝供書
第百十九話 悪人達の絵その三

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「やはりです」
「傷付いていくからのう」
「兵も減りです」
「家の力も弱まる」
「どうしてもそうなりますから」
「だからな」
「はい、出来るだけです」
 戦はというのだ。
「避けましょう」
「そうしようぞ」
「これは他の家と同じですな」
「薩摩隼人でもな」
 それでもというのだ、戦を恐れぬ彼等でも。
「やはりな」
「戦はどうしてもという時であるな」
「その時に戦い」
「その必要がないならな」
 それでというのだ。
「避ける」
「だから相手が降れば」
「それでよい」
 こう義弘に話した。
「それでな」
「左様ですな」
「ではです」
 歳久も言ってきた。
「蒲生家には我等の力を見せましょうぞ」
「そしてじゃな」
「我等と戦っても勝てぬことを知らしめ」
 そうしてというのだ。
「降らせましょう」
「それがよいな」
「力、圧倒的なものを見せれば」
 それでというのだ。
「相手もです」
「戦って勝てぬとわかってな」
「降ります」
「だからそれが一番よいな」
「そうかと」
「兵法にもあるな」
 義久は孫子等の話もした。
「戦わずして勝つことこそな」
「最善です」
「戦って勝つよりもな」
「それは下策です」
「ではな」
「はい、そうしていきましょうぞ」
「ううむ、戦わずして力を備えるなら」
 それでとだ、家久も言ってきた。
「まさにです」
「最善であるな」
「そうですな、戦になればです」
 家久は長兄に己の考えを述べた。
「それがしとしてはまさに戦うべきところで」
「励みたくなるな」
「はい、ですが」
「お主もわかっておろう」
「やはり百戦百勝では、それに」
 家久はさらに言った。
「戦の勝敗は絶対ではありませぬ」
「どうしても負ける時はあるな」
「左様であります」
「だからじゃ」 
 それ故にというのだ。
「やはりな」
「必要なだけすべきですな」
「左様じゃ、だからな」
「蒲生家はですな」
「降せるからな」
 だからだというのだ。
「それを狙うぞ」
「わかり申した」
 弟達も頷いてだった。
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