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戦国異伝供書
第百十九話 悪人達の絵その二

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「何があってもな」
「その通りですな」
「あの方はまことに非道を極めました」
「戦国の世から見ても」
「あれだけのことをした方は戦国でもそうはおらん」
 義久は義教についてこうも言った。
「斉藤殿や松永殿、宇喜多殿でもな」
「俗に三悪人と呼ばれていますな」 
 義弘は彼等のことをこう言った。
「お家乗っ取りや謀殺や何やらと」
「そうであるな」
「はい、松永殿に至っては」
「公方様弑逆に大仏殿を焼いたりとな」
「今は織田家におられますが」
「織田家の方々の殆どが忌み嫌っておられる」
 それこそ命を奪わんばかりにだ。
「何でも前田慶次殿や羽柴殿位しかな」
「親しくする方がおられぬとか」
「そこまで忌み嫌われるのはな」
「やはり悪行故ですな」
「ああしたことをしてはな」
 それこそというのだ。
「断じてならん」
「だからですな」
「わしもこう言う」
 今の様にというのだ。
「まさにな」
「そうですか」
「だからな」
「その絵達を飾って」
「よくじゃ」
 まさにというのだ。
「戒めとする」
「よいことですな」
「ではです」
「その様にされて下さい」
 弟達は兄に言った。
「是非」
「それでは」
「悪行はですな」
「せぬ」
 その様に心掛けてというのだ、こう言ってだった。
 義久はこの時から悪人達を見て戒めとした、そして。
 領内の政を進めた、南蛮から入った煙草を植えさせて売ったりしつつ領内を豊かにするのも忘れずにだ。
 南蛮や明との交易も盛んにしていた、義久はその中で言った。
「やはり銭がないとな」
「どうにもなりませぬな」
「戦についても」
「どうしても必要です」
「だからまずはな」
 戦の前にというのだ。
「田畑だけでなくな」
「煙草も植えさせ」
「そして交易も行い」
「銭を手に入れていきますな」
「そうする、そしてな」 
 まさにというのだ。
「まず蒲生家をな」
「降しますか」
「政を進めつつ」
「そうしますか」
「うむ、そしてあの家の力をそのまま手に入れ」 
 そうしてというのだ。
「それからな」
「後の二つの家ですな」
「東郷家と入来院家ですな」
「そうなりますな」
「そうする、戦は恐れぬが」
 それでもというのだ。
「やはり戦わずして勝つならじゃ」
「百戦百勝してもです」
 ここでは義弘が言ってきた。
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