並行世界のクリスマス2020
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祝われて、嫌じゃないんですか?」
クリスマスと誕生日が近い者達に多い悩みを、疑問として呟く翔。
だが、クリスは首を横に振った。
「正確には、クリスマスの3日後だから。クリスマスは、友達と一緒に、皆で祝って、誕生日は、家族だけで祝う。毎年、そんな流れだったよ」
「なるほど。じゃあ、クリス先輩にとってクリスマスって?」
「皆と過ごせる楽しい日、かな。誕生日と合わせたら2日も楽しい日が続いてるから、私は大好きだよ」
「雪音、今の顔はとても可愛らしかったぞ」
カメラの音に振り向くと、スマホを横に構えた翼が捉えた一瞬をLINEのグループに共有するところであった。
彼女の格好もまた、女性用のサンタ服である。
綺麗に取られた写真には、楽しそうに笑うクリスが写っていた。
「つ、翼先輩!いつから構えてたんですか!?」
「可愛い弟と義妹の尊い一瞬を逃さないよう、撮影は常に一瞬で行えるように訓練している。その成果だな」
「翼さん、そういうの、才能の無駄遣いって言うんじゃない?」
驚くクリスにドヤ顔で語る翼へと、響は呆れた顔で苦笑いを向ける。
「イベント事には記録係も必要だろう?そして私は招待された立場であり、この中で最年長だ。皆との尊き一瞬をカメラに収める事の、何が問題なのだ?」
「それはそうですけど……撮影する前に言えばいいじゃないですか」
「それでは一瞬を捉えられないのだ。それに立花、一言かければお前は素直に応じてくれるのか?」
「うっ……それは、その……」
普段、翼にカメラを向けられるのは、翔と一緒にいる時だ。
一声かけられようものなら、響は翔の陰に隠れるであろう事など想像に容易い。
姉としてはどうしても、可愛い弟が未来の義妹とイチャイチャしている瞬間をカメラに収めたいのである。
そこで翼が磨いたのが、高速撮影術だった。
居合の如き素早さでスマホを取り出しカメラを起動。そして対象に気づかれる前に、一番尊い瞬間を切り取る。
その身を剣と鍛えた翼だからこその撮影術である。
「まあまあ、いいじゃないか。僕は今日の可愛い響さんを、ちゃんと写真に残しておきたい。姉さんなら安心して撮影を任せられるもんね」
「……翔がそう言うなら」
「うむ。ほら、もう少しこちらに顔を向けてくれ。撮るぞ……はい、チーズ」
翔に抱き寄せられ、響は真っ赤になる。
ミニスカツンデレサンタな響の写真は、翔のフォルダにしっかり保存される事となったのであった。
「でも、こうして大勢で祝うクリスマスって、久し振りかも……」
未来はポソリと呟き、直後慌てて口を塞ぐ。
その言葉を聞き逃さなかった翔は、その意図に気が付き、腕に抱いた響の顔を見る。
「……そう……だね……。あの頃は、色々あった
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