悲劇の原因
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「はあ、はあ……」
ハルトはその場で膝をついた。震える腕で、サファイアの指輪を拾い上げる。
「指輪が……重い……」
ホルスターの残骸に嵌めながら、残りはルビーの指輪のみ。
「……」
息苦しい。全身から流れる血液で体が重たく感じていた。
周囲に散らばるアマゾンの死骸。一体一体に触れるのに抵抗を感じながら、その裏側にもフレイムウィザードリングを探した。
「……どうしてこんなことに……」
地面に転がる、無数のアマゾン。病院の服やら、私服やら。そのほとんどが灰となっており、もはやどれがどれだったかなどの判別もできない。
それぞれの共通点はただ一つ。見滝原中央病院の水を飲んだことだけ。
ハルトは、焼き焦がれ、真っ黒になったウォーターサーバーを睨んだ。あんなものが感染源になるなど、誰が考え付くだろうか。
「あ、あった……」
最後のウィザードリング。それは、小さなアマゾンの死体の傍らに落ちていた。
「……」
顔をしかめて、こちらをじっと見つめるウィザードリングを拾い上げる。
その時、ハルトはまるで、ウィザードリングにこう言われているようにも感じていた。
___お前が、この人たちを救えなかったんだぞ___と。
「分かってるよ……」
誰にも聞かれない言葉を口にしながら、ハルトはルビーを左手に嵌めた。残りのウィザードリングを、応急処置で直したホルダーに入れ直し、上の階を見あげる。
そして、その光景に、ハルトは言葉を失った。
吹き抜けから見える、病室という病室。そのドアを開けた、黒い影たち。
もはやここはアマゾンの世界。そういうかのように、アマゾンたちが湧き出てきたのだ。
「まだ……」
アマゾンたちは、ハルトがいるロビーに飛び降りてくる。それぞれがよだれを垂らしながら、ハルトを獲物として睨んでいる。
やがて、生身のハルトへ、サメの姿のアマゾンが飛び掛かってきた。
ハルトが変身する暇もなく、サメアマゾンの餌食になってしまう。
『アマゾン スラッシュ』
だが、その寸前で、頭上から聞こえてくる電子音声。ハルトの前に、青い影が降り立った。
サーヴァント、バーサーカー。アマゾンネオ。
赤の目を黄色のバイザーで隠したそれは、腕の刃で、サメアマゾンを両断した。
「千翼くん!」
ハルトが思わずその名を呼ぶ。
アマゾンネオはサメアマゾンの死骸を蹴り飛ばし、ハルトに振り返った。
「ハルトさん、大丈夫?」
「ああ。助かった。……クトリちゃんは?」
「大丈夫。子供部屋に避難しているから。だから、今はこいつらだよ」
アマゾンネオは、ベルトのスイッチを押す。『ブレード ローディング』の音声とともに、アマ
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