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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十七話「蒼鷹」
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んら支障なく動く、リオンにはそれがかえって不気味に思えた。

「……痛くねえのか?あ、いやそりゃ顔見りゃわかるか。えーと…俺はこんなときどうすりゃ良いんだ?」

「……車椅子をしまってくれるか?」

「お……おおそうだな!もう邪魔なだけだもんなどれどれ…あ、でも後で検査はさせろよ?」

そういって食事のことなど忘れたようにあたふたと走り去っていく男の後姿を見ながらリオンは考えた。

「坊ちゃん」

心なしか、涙声のような気さえした。

「大袈裟だなシャル。最初っから直ぐ歩けるようになるとエドワードも言ってただろう?」

「でも……本当に良かったです」

シャルティエに悪意は無い。心の底からリオンの足の治癒を喜んでくれている。
だがそれでもリオンは一言だけぶっきらぼうに返すしかできなかった。

「そうだな」

立った直後に聞こえた蒼鷹の声は幻聴だろう。リオンはそう確信できた、だが幻聴には何らかの理由が必要だ。これがリオンの精神的な物に起因する物なのか、それとも何らかの異能なのか、専門的な知識は無いリオンには判断できないことだ。エドワードに相談しようとも一瞬思ったが止めた、仮に異能だとして、それが魔法関連なのは間違いないからだ。
リオンはもう疑っていなかった。あの蒼鷹がただの夢でないことを。
だがそれは彼の胸のうちにそっとしまわれた。


「リオンさん!」

居間に着くと丸で弾丸の様に、フェイトが飛んできた。

「歩ける様になったんですね!」

………いっそ忌々しいほど敬語だ、リオンには手に取るように今のフェイトの気持ちが理解できた、極力丁寧に、リオンを怒らせないように振舞っている、傷つく事を恐れているのだろう。リオンとしては今直ぐにこの少女に説教してやりたい所だが今はグッと堪える。
なぜなら……

「よぉ、俺とこうやって話すのは初めてだな」

……目に見える関門がそこにはあるから。リオンは「いただきます」と短く言ってクロワッサンを頬張った。


「先に謝っておくよ、昨日は悪かったな」

食事を終えて食器を片付けてエレギオはまず第一にリオンに対してそう言った。

「何のことだ?」

心当たりはあったが、取り合えずリオンはとぼけて見る事にした。未だ確信が持てない以上そうするしかないのだ。

「それ言わせんのかよ……昨日お前に魔力弾を一発撃ったろ?」

「………『一発』?」

「おおそうだ、つってもお前防いでたけどな……どうした、何でそんなに腑に落ちない顔してるんだ?」

一発は確かに撃たれたらしい。
車椅子が壊れていないのは、その後の攻撃が無かったからなのか?

「………何でもない、気にするな」

「お、おおそうか。ありがと」

エレギオは
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