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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第十七話「蒼鷹」
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だが………だとしたらコレは一体どう説明すれば良いのだろう?
ただの夢とは考えられない。リオンは至って大事にこの車椅子を使っている、一度も壊れた光景を見たことが無いし、想像した事も無い。思い描いた事すらない物が何故夢に出てきたのだろう?

「エドワード」

「まだ何か聞きたいことがあんのか?」

確かめる為に、あの夢?の中で決心したことを彼に伝えた。

「僕達はお前達と同盟を組みたい」

「………そうかよ」

その反応を見てリオンはなんとも言えない不思議な気分になった。この反応にも変な部分は無い。エドワードがツァーライト一味について語っていたのも耳に入らなかった。
だがリオンの空想もある声を聞いて砕けた。

「おーい、エドー」

自分が車椅子の上であることも一瞬忘れてシャルティエを抜刀しようとした。
その声は疑いようも無い、自分を叩きのめしたエレギオ・ツァーライトの声その物だった。
……いや、それもまた夢、か?
リオンがそう自問自答するのに対してその声は夢の中で聞いたものとはかけはなれたのんびりとした声だった。
例えるなら遊牧民の歌のような、少なくともあの殺気に満ち溢れた声ではない。

「エレギオか、今行くぞー
 ……ほらリオン、連中大食いだから速くしないと飯無くなるぞ?
 小難しい話はその後にしようや、っても俺が話してたんだけどな」

そう言って苦笑いするエドワード。何時も通りだ。少なくともリオンには見分けがつかない。
だがリオンにはもう一つ確認しなければならないことがあった。

「フェイトは……?」

「元気だよ………今回は俺達でもわかる『空』元気だけどな、アルフちゃん含めて」

それを聞いたリオンはエドワードは医者と言う観点から見てコイツ、血管千切れんじゃね?と心配させるような顔をした。元々そこまで気が長いわけではないリオンはただでさえ良くわからない状況の所為で気が立っているのにそんな時に更にそんな報告を聞いたのだ。火に油を注ぐとはまさにこの事を言うのだろう。リオンは一瞬車椅子から立ち上がって………
倒れたりはしなかった。

「え、リオンお前!?」

「何だと言うんだ、僕が立った位で……え?」

漸く事の重大さに気付いたらしい。リオンは立っていた、なんの違和感も無く足の麻痺が嘘の様に。

「お、俺は幻でも見てるのか……?」

本来ならリオンにとって喜ぶべきだったことだろう。まだ声を出すことを禁じているシャルティエが思わず息を呑むような感覚があった。リオンだって思考が追いつけば喜ぶ……筈だ。
だが、リオンは立った瞬間あの蒼鷹の声が聞こえた。

・・・よかったなぁ、立てて・・・

これでは素直に喜べる物も喜べない。頭を捻りながら一歩目を踏み出した。

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