第四話 努力をしていきその十一
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「飲んだら悪いの?」
「そんなことはどうでもいい。お茶を飲む位では何も言わん」
「それじゃあ何かな」
「御前がお茶を淹れるのか」
このことにだ。意外といった顔を見せてそのうえでだ。
父はだ。話が子に言ったのだった。
「自分で飲む飲まないは別にしてな」
「美味しいね。自分で淹れるお茶は」
「お茶の味は変わらないだろう」
「あれっ、そうかな」
「何が楽しいんだ」
如何にも不機嫌そうにだ。父は彼に話す。
「そんなことをして」
「紅茶好きになったから」
だからだと答える十字だった。
「それじゃあ駄目かな」
「勝手にしろ。俺の知ったことじゃない」
「そうなんだ」
「それにしても最近御前どうしたんだ」
今度は怪訝な声だった。その声で彼に言ってきたのである。
「ランニングしたり勉強したりしてな」
「別に」
千春に言われて奮起したとは言わなかった。そんなことを言っても何にもならないと思ったからだ。希望はこうしたことについても引っ込んで考えていた。
「何でもないよ」
「ふん、どういう風の吹き回しか知らないがな」
父として我が子のそうした行動を喜ぶものではなかった。むしろだ。
否定するものでだ。こう言うだけだった。
「三日坊主だな」
「途中で止めるっていうんだ」
「御前が続ける筈がない」
完全にだ。見捨てている言葉だった。
「絶対にな。だからどうせだ」
「三日坊主っていうんだ」
「御前が何かを続けられる筈がない」
またしても言う。その見捨てた言葉を。
「すぐに何もしなくなるさ」
「そう言うんだ」
「精々好きにしろ」
我が子に何も期待していない言葉だった。まるで関心がない。その言葉を告げてからだ。
父は自分の部屋に入った。希望は一人で紅茶を飲んだ。
そしてその紅茶を飲みながらだ。こう言うのだった。
「美味しいね、紅茶は」
その味を知ったのだった。それは確かにだ。優しく、甘いものだった。
第四話 完
2012・1・18
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