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おぢばにおかえり
第六十一話 食べてもらってその三十

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「仲良くね」
「そうしてなのね」
「案内してきてね」
「それじゃあ」
 私はお母さんに頷いて応えたのですが。
 お母さんは阿波野君にも言いました、ですがその言葉は私に対してよりもむしろ明るくて優しい感じでした。
「積極的にね」
「そうしていっていいですか?」
「是非ね、この娘にはね」
「そうですか、ですが」
「もう何があってもいいから」
「えっ、そんなの絶対に無理ですから」
 阿波野君は私の横で焦りだしました。
「一緒にいるだけで」
「あら、何だかんだで奥手なの」
「奥手っていうか僕も高二で」
 お母さんに焦りながら答えていました。
「何も知らないですし」
「そうなのね、それでもね」
「積極的にですか」
「いってもいいから」
「そうですか」
「親のお墨付きだから」
 だからだというのです。
「宜しくね」
「まあ出来るだけ」
「何が出来るだけなの?」
 阿波野君に怪訝な顔で尋ねました。
「それで」
「あっ、僕は紳士でありたいですから」
「いや、それと今のお話がどう関係があるのか」
「わからないですか」
「どういうことなの?」
「とにかく紳士でありたいので」
 そう思っているからだというのです。
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