第百十八話 水色から橙へその七
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「そちらは織田家がです」
「最早であるな」
「この九州以外は制し」
「天下人にならんとしておられるな」
「その様です」
「天下か」
義久はここで考える顔になって述べた。
「どうも思うところがないのう」
「我等としましては」
家久が応えた。
「薩摩、大隅、日向で」
「その三国とな」
「九州全体を考えてです」
「それが精々であるな」
「天下となりますと」
どうにもというのだ。
「ぴんと来ませぬ」
「そうであるな」
「ですから」
それでというのだ。
「織田殿が天下人になられても」
「よい、当家は薩摩と大隅とじゃ」
「日向の守護になれば」
「よい、今はそう思う」
「左様ですな」
「そう思う、だからな」
天下はというのだ。
「別によい」
「それでは」
「織田家が従う様に言えば」
それならというのだ。
「守護の位さえ認めてくれるならな」
「よいですな」
「それでな」
「当家は鎌倉様の頃からこの国におりまする」
歳久も言ってきた。
「ですから」
「だからであるな」
「この地を離れることは出来ませぬ」
「逆に言えばここにおられるならな」
「天下人がどなたでもです」
「天下を無事に治めて頂けるならな」
「それでいいです」
こう義久に話した。
「兄上もそうお考えですな」
「その通りじゃ、天下なぞな」
「当家にとっては」
「ぴんと来るものがない」
「だからですな」
「それはよい、まあ今のままな」
「戦をしていきますな」
また長兄に問うた。
「そうしていきますな」
「その通りじゃ、そしてじゃ」
義久はあらためて言った。
「鉄砲はこれからもな」
「増やしますな」
「さらに造り」
「そうしていきますな」
「九州で当家より鉄砲を持っておる家はない」
それだけにというのだ。
「より多く持ちな」
「他の家を圧倒しますな」
「鉄砲の数で」
「そうしますな」
「そのうえで戦う」
こう言うのだった。
「よいな」
「そしてですな」
ここで義弘が言ってきた、弟達は家臣達それも一門衆の先頭にいてその座から長兄である義久に言うのだった。
「切り込むことも」
「する、戦においてはな」
「恐れないことですな」
「それこそが大事じゃ」
何といってもというのだ。
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