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麗しのヴァンパイア
第三百六話

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                  第三百六話  意味のない正座
 赤音はクラウンのメンバーに学校で姉の言葉を話すと皆頷いた、そして亜美が赤音にこんなことを言った。
「どっかの中学校で体育館建て直して使い方とかの説明会してな」
「中学の話なの」
「それで体育館使う部活が集まったけど」
「そこで何があったの?」
「剣道部もおったけど顧問が部員全員正座させて聞かせてな」
「それってお話が長かったら」
 赤音はどうなるかすぐにわかった。
「足が痺れて」
「もう説明なんか耳に入らんやろ」
「それする意味あるの?」
「顧問の見栄やで」
「いや、見栄でお話が耳に入らなかったら」
「ほんま意味ないな」
「私でもそれ馬鹿だって思うわ」
 こう亜美に言った。
「その先生何なのよ」
「ちなみに自分はずっと立ってた」
 生徒を正座させてというのだ。
「そうしてたんや」
「自分は正座してなかったの」
「部員全員丸坊主にさせて自分はせんかったこともあったそうや」
「何で自分はしないの?」
「試合に負けてそれやったけどな」
「いや、自分の教え方がどうとか考えないと」
 赤音は眉を顰めさせて言った。
「このこと私お母さんに言われたけれど」
「教える方にも責任あるってやな」
「人にものを教える時はね」
「けどその先生はそう考えへんでな」
「自分は丸坊主にしないでなの」
「生徒にさせてな」
「正座もさせたのね、最低ね」
 赤音は一言で言い捨てた。
「その先生」
「ちなみに奈良県の先生や」
「うわ、奈良県には絶対に行きたくないわ」
 赤音はこのことを心から思った。
「そんな先生いるんなら」
「ちなみに生徒を思い切り殴って蹴るらしいな」
「そんなことまでするの」
「けどクビになってへんで」
「奈良県ってどういうところ?」
 赤音も他のメンバーもこのことには唖然となった、そして赤音が特に言った。
「そんな人がクビにならないって」
「何かあるんかもな」
「私達の学校にそんな先生いないから」
 八条学園にはだ。
「奈良県って凄いわね」
「ほんまやな」
 亜美も言うことだった、見れば彼女も真剣な顔だ。それが嘘を吐いていない何よりの証であった。


第三百六話   完


                   2020・10・11
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