特別編 せイーッ!なる夜のプレゼント
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一歩も引かない。
「ここをどこだと思っている!党幹部の方のお住いだぞ!配送物の中身を確認せずにお渡しできるか!中身が危険物だったらどうする!?」
もっともだ。
自分達が不審者扱いされているのは心外だが、これが普通の対応だろう。
「困ったぞ……これではノルマが達成できない…」
『ノルマを達成できなかった班には厳罰が待っているからそのつもりでいろ!!』というゾル大佐の言葉が脳裏に蘇る。彼が課する厳罰など想像するだけで恐ろしい。
「フフン………私に任せてください」
「何?」
「トゥッ!!」
彼女はジャンプする。次に着地した時には纏っていた服装が変化していることに気づいた。先程まで着ていた赤いサンタ服とは異なり、黒いレオタードに黒いスカーフ。顔には赤と青のフェイスペイントが施されていた。
お馴染みの女戦闘員の格好である。
「何事だ!?おい、女、何をす…るつも……り」
「そう、私の目を見て……そう、そのまま」
女戦闘員は黒服の男達にゆっくりと近づき、一人一人の目を覗き込む。
黒服の男達の目がボンヤリと半開きになっていく。どうやら催眠にかかっているらしかった。段々と力が抜けていっているのが分かる。
「先輩!!今です!!私はこのまま護衛を全員催眠にかけておきますから、急いで!!」
「お、おう」
とにかく、彼女の"献身'を無駄にするわけにはいかない。この隙に邸宅の中に侵入した。家の造りは和洋折衷なノスタルジックなものだった。玄関先にプレゼントを置くとインターホンを鳴らした。
ガチャッとドアが開くコンマ数秒前に近くの茂みの中に身を潜めることに成功した僕は受け取り主の様子を伺った。
「はーい、誰?ってプレゼント?」
ドアを開けたのは幼い男の子だった。まだ4、5歳といった印象だ。こんな夜遅くまで起きているとは余程、プレゼントが楽しみだったとみえる。
男の子は状況を理解するとパアッと明るい顔をした。
「お母さーん!やっとサンタが来てくれたよ!プレゼントがあるー!」
そう大声で言うとプレゼントを抱えて家の中に急ぎ足で戻って行った。母親に自慢するのだろう。
近くに誰もいないのを確認すると僕は茂みから出て、静かにその場を後にした。全てのプレゼントを配り終え、達成感に包まれていたが、高揚というよりは何だか優しい気持ちになっていた。10年、戦闘員をしてきたが今日ほど心が温まったのは初めてではないかと思う。
最後に高い塀を越え、邸宅の外に出た。
そして彼女を回収すべく、近くに駆け寄った。まだ彼女は男達を魅了していた。
黒服の男達はボンヤリとした目で彼女を凝視して
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