残念ですがさようなら
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顔で震えるチノ。彼女はそのまま、両手で頭を抑える。
「病院の水で、怪物になる……怪物になる……」
「チノちゃん? チノちゃん!」
「ココアさん……私、この前まで中央病院にいました……もしかして……」
「大丈夫だよ! きっと……」
「私、一週間も入院していました。水だって、向こうで沢山飲みました……」
店員が変異していく。その可能性に怯えた客たちは、一目散に逃げて行った。だが、誰一人としてその食い逃げを追うことができない。
ココアが、チノの肩に手を置いた。
「落ち着いて、チノちゃん。まだ、そうと決まったわけじゃ……」
「止めてください!」
チノは、ココアの手を拒絶した。チノは叩いた自身の手を見下ろし、それを掴む。
「嫌です……! 私……私……!」
「チノちゃん!」
ココアが怯えるチノを抱きとめる。だが、チノは止まらない。
「私、人喰いの怪物になんてなりたくないです! ココアさんを……ココアさんを……!」
「大丈夫! 大丈夫だから!」
「嫌です! そんな……」
チノはギュッとココアの腕を握っている。
「チノちゃん!」
ココアの大声に、チノははっとする。彼女の顔をじっと見つめるココアに、チノの呼吸が落ち着いた。
「私がいる。私がいるよ」
「ココアさん……」
「チノちゃんが嫌いになっても、怪物になっても。私がずっとずっと、傍にいるよ」
いつしか、二人きりになったラビットハウスで、チノの呼吸の音だけが響いていた。
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