残念ですがさようなら
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アマゾンと手を組んだ』
アマゾンと手を組んだ。その言葉に、客たちの間にどよめきが生まれた。
『すでにこの世界の秩序は乱れている。人々は愚かに過ぎず、一つしかないものは分け合えない。分け合えないと奪い合う。奪いあえばと足りなくなる』
「違うよ……」
ココアは無意識に呟いた。
「この世界、そんなにひどくないよ……?」
『争わず、奪い合わず、美しく生きていくには、命の数を減らすしかない』
『アマゾンだけが、明日を手に入れる!』
選民思想。今、ココアの中にその単語が思い浮かんだ。
『私は、アマゾンの力とともに、その制裁を実行する。秩序の乱れたこの世界をリセットし、美しい世界を作り上げるのだ』
フラダリは最後に、この言葉とともに消えた。
『アマゾン以外の皆さん。残念ですがさようなら』
「うわああああああ__________」
その時。突如として店内から悲鳴が上がった。
全身から蒸気を吹き出す人物。駆け寄る人を突き飛ばし、肉体から耳を塞ぎたくなるような音が聞こえる。
そして。
「アマゾン……」
客は、アマゾンの姿となり、すぐ近くの客へ襲い掛かった。
だがそんなアマゾンを、ハルトが抱き留める。
「可奈美ちゃん! 千鳥取ってきて!」
「分かってる!」
彼の声に、可奈美は脱兎のごとく上の階へ走り去る。
同時に彼は、アマゾンを蹴り飛ばした。店のガラスを割りながら、アマゾンは店の外へと飛び出る。
「ココアちゃん!」
「な、何!?」
状況が分からないココアは、ただ、返事しかできない。
「お客さんをここから出さないで! いいね!?」
「は、はい!」
こちらの返事を聞いてか聞かずか、ハルトはアマゾンを追いかけて店の外へ飛び出した。
同時に、細長い赤い棒を持った可奈美もそのあとを追う。
「どうなっているの……?」
『臨時ニュースです』
二人が出て行ったあと、テレビ番組がニュースへ切り替わる。
「只今、アマゾンへ変異してしまう原因が判明しました。見滝原中央病院周辺に設置されている、ウォーターサーバーに、溶原性細胞が混入していました」
見滝原中央病院。
チノがこの前まで入院していた病院の名前だった。
「飲んだ覚えのある方は、焦らず、他の病院へ診断を受けてください。繰り返します。飲んだ覚えのある方は……」
突如として、ガシャンと、コップが割れる音がした。
そんなミスなど想像できない、チノがその発生源だった。接客中だというのに、盆を地面へ滑り落とし、それを拾おうともせずにテレビを見上げている。
「見滝原中央病院……私、つい最近まで入院していました」
真っ青な
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