残念ですがさようなら
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スマスも近いから、当日の下調べでもしているのかな?」
「まだ一か月も先だよ? 早すぎない?」
「そんなことないよ! きっと、当日はみんな馴染みのところで過ごしたいんだよ!」
「へえ……そういうものか……」
ハルトは頷いた。ココアは顎に手を当て、
「もしかしてハルトさん、あんまりクリスマスとかに興味ない人?」
「興味ないというか、あんまり特別な日って感じはしないかな。旅に出てから日にちの感覚もあんまりなかったし。季節さえ分かってればって感じだったから」
「ふええ……」
ココアは顔をぽかんと開けた。
「そういえば、ハルトさんがどんなところを旅してきたのか、あんまり聞いたことなかったかも」
「語ることでもないからね。まあ、この繁忙期ではないときに言うよ」
「ありがとう!」
ココアはにっこりとほほ笑んだ。
しばらくは新しい人も、追加の注文もなさそうだ。ココアは、カウンター奥の厨房へ顔を覗く。
「これ美味しいです!」
「本当? ありがとうございます!」
奥では、可奈美がカウンター席の客と話している。可奈美が作ったパフェが、どうやら好評のようだった。
「新人さんよね? ここまでのもの、もしかしたらココアちゃんよりも上手かもしれないわ」
「ありがとうございます!」
「?……」
「はい就業時間中にすさまじくぶっ倒れたりしないでね」
気絶しようとしたココアの口が、ハルトに塞がれる。
その時。
『親愛なる見滝原市並びに全世界へ』
突如、天井付近のテレビの画面が真っ赤に書き換わった。静かだったクラシック番組は、赤い髪をもつ男性に取って代わられた。
「?」
「あれって……」
談笑していたお客さんたちが一斉に見上げる。
「何あれ?」
「変な髪形」
「何か、ライオンみたいだな」
「あれでクソコラ作ってみようかな?」
「あの人、今話題の病院の院長じゃない?」
それぞれが多種多様な反応を見せる中、ココアの隣でハルトが呟いた。
「フラダリさん?」
それで、ココアは思い出した。
フラダリ・カロス。人喰いの怪物で話題の見滝原中央病院の院長だ。何度かニュースで見かけて、インパクトのある外見だなと思った。
「たしかあの怪物って、この前病院とは別のところに出たから、病院は関係ないって話になったんですよね」
「……」
だが、ハルトはココアの言葉に反応しなかった。口をきっと結び、テレビを凝視している。
『我が名はフラダリ・カロス。この世界を美しく作り変える者である』
ココアには、彼が言っている言葉が全く理解できなかった。
『人喰いの生物。名はアマゾン。異世界より来たりし神の遣い。私は、秩序の執行者として、この
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