第三章
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「大事にしてあげましょう」
「絶対にだよ」
「そうね、それじゃあね」
「うん、じゃあ今は」
「お散歩を続けましょう」
「ワン美、ニャン太行こう」
娘、黒の髪の毛をロングヘアにし母親似の目と唇、父親似の眉の彼女が二匹に満面の笑顔で声をかけた。
「私達と一緒にね。ずっとね」
「そうだ、皆がいるからな」
「私達は何があっても私達の味方よ」
「ワン」
「ニャア」
二匹は家族の言葉に明るい顔になった、そしてだった。
気を取り直して彼等との散歩を再開した、二匹は幸せに過ごす様になった。
三人も二匹と一緒に笑顔になっていた、その中で。
隣家から急に人気がなくなった、その後で。
ニュースが流れた、妻は夫にそのニュースを観ながら話した。
「お隣さんが二人共死体で発見されたそうよ」
「そうなのか」
「もう公園で手足も胴体もコマ切れにされて頭が転がっていたそうよ」
二人のそれがというのだ。
「犯人はまだわかっていないけれど」
「バラバラ殺人か」
「そうなったみたいよ」
「ヤクザ屋さんの抗争か不始末をしてそうなったか」
「ヤクザ屋さんってこうしたことするの?」
「違うかな、それか最近神戸で話題になっている」
夫は妻にこうも言った。
「ヤクザ屋さんの事務所を襲撃して全員惨殺する
「そんな事件も起こってるわね」
「その犯人かな」
「何か物騒ね」
「それかな」
「有り得るわね」
妻も否定せずに頷いた。
「若しかしてだけれど」
「まあとにかくああした人達の末路としてはね」
「相応しいわね」
「悪人の末路にはね、じゃあね」
「うん、今からね」
「ワン美とニャン太にご飯あげましょう」
「もうあげたよ」
娘が早速言ってきた。
「私がね」
「そうしてくれたのか」
「二匹共仲良く食べてるよ」
「それは何よりだ、種族と年齢は違っても」
それでもとだ、父はこう言った。
「人間でも犬でも猫でもな」
「それで歳は違ってもよね」
「皆家族だ、じゃあご飯の後はな」
「またお散歩ね」
「皆で行こうな、ワン美もニャン太もそれでいいな」
「ワンッ」
「ニャンニャン」
二匹は一家の父の言葉に笑顔で応えた、二匹はご飯を食べる時も仲良く寄り添っていた。もうそこに怯えはなく愛情があった。
種類も年齢も違っても 完
2020・12・24
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