暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
装者達のクリスマスパーティー2020
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一郎くん……」
「どうしたの、未来さん?」
「ちょっと、来てくれるかな?」

胸のリボンがふわりと揺れる。
恭一郎は何も言わず、こくりと頷いた。



「未来さん、どうしたの?」

ここは、本部で一番大きな窓がある場所。今夜は空も晴れていて、欠けた月が街を優しく照らしていた。

恭一郎くんの手を離すと、私は反対側の腕に抱えて隠していたプレゼントを握る。

「その……恭一郎くんに、渡したいものがあって」
「ッ!そ、それって……」
「うん……。恭一郎くん、メリークリスマス」

そう言って、赤い袋と緑のリボンでラッピングした包みを手渡す。

折りたたんだ布は、包み越しにも分かる手触りだから、開ける前に中身が分かっちゃうんじゃないかと心配になる。

「ありがとう未来さん!開けてもいいかな?」
「いいよ……上手く作れてるかは、ちょっと不安だけど」

丁寧に包みを開封する恭一郎くん。
中に入っていたのは……手編みのマフラーだ。

「これ、未来さんが?」
「クリスに習いながら編んでみたの」
「未来さん、ありがとう。大事にするよ!」

そう言って恭一郎くんは、早速マフラーを首に巻く。

クリスに見てもらいながら、何日もかけて頑張って編んだそれは、恭一郎くんの首によく似合っていた。

「気に入って貰えた?」
「凄く温かいよ。まるで、未来さんに抱き締められてるみたいだ」
「ッ!?そっ、そういう事言っちゃうかな……」
「え?……あっ……」

恭一郎くんからの言葉に、頬が熱くなる。
自分で口走ったクセに、恭一郎くんも一拍遅れて頬を赤く染めていた。

普段はヘタレなのに……こういう時だけ、ズルいよ……。

「その、未来さん……」
「何かな……?」
「キスしても、いいかな?」

思ってもみなかった、だけど心のどこかで思い描いてた言葉。

目を見開き、月明かりで照らされた恭一郎くんの顔を見つめ、そして──

「……いいよ」

小さな声で返事をすると、彼の手が背中に回される。
お互い赤くなった頬を見つめ、自然と目を細めながら顔を寄せていく。

遠慮がちにゆっくりと唇を重ねる瞬間は、いつにも増してゆっくりと訪れた。



「クリスちゃん、お疲れ様」
「お、おう……」
(み、未来……。はうう、未来が恭一郎くんとキスしてるよぉ……何だかすっごくドキドキしちゃうよぉ……)
(おめでとう恭一郎、おめでとう小日向。2人とも、お幸せにな。……しかし、月光の下でキスか。俺も帰り道で響にやったら、喜ぶかな?)

そして、物陰の友人達は何も言わずに、温かい目で2人を見守るのであった。
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